2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of High-throughput Plant Phenotyping System Using Affordable Devices
Project/Area Number |
18K05906
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡安 崇史 九州大学, 農学研究院, 准教授 (70346831)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉永 崇 公益財団法人九州先端科学技術研究所, オープンイノベーション・ラボ, イノベーション・アーキテクト (10598098)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 低コストフェノタイピングシステム / 環境モニタリング / 植物体センシング / 画像解析 / 複合現実感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,農業生産の高度化に応用できる植物フェノミクス情報の収集を行うため,植物の発芽から収穫までの表現型の高速かつ網羅的な計測・可視化を実現する低コストフェノタイピングシステムの開発を行うことを目的としている. 2019年度においては,前年度に試作した簡易植物栽培用チャンバーを用いて,水耕栽培によるホウレンソウの発芽・初期生育試験を複数回行った.本試験ではチャンバー内の環境計測(温度,湿度)に加えて,LED照明,栽培槽への灌水,RGBカメラ撮影等の制御をカード型コンピュータを用いて行った.撮影された発芽・初期生育画像を深層学習プログラムに導入することにより,発芽率の評価を行った.同様の栽培試験は,ハクサイについても行い,発芽率に加えて初期生育特性の差異の定量評価も試みた.その結果,発芽率は概ね高精度に評価できることを示すと同時に,生育初期の葉の展開パターンの差異をある程度分類可能であることを明らかにした. 一方,植物の葉色,葉面積,草高等の生育特徴量の自動計測・抽出を行うことを目的に,カード型コンピュータ,モータドライバ,走行レールから構成される低コスト植物フェノタイピングロボットの開発を行った.本ロボットにRGB-Dカメラを搭載した後,水耕栽培ベッド上のホウレンソウを幼苗期から収穫期まで連続計測した.その結果,栽培ベッド上のホウレンソウの生育むらや草高(成長曲線)を自動計測できることを示した.また,計測ロボットの稼働率は,生育初期はプログラムバグ等で低かったものの,生育中・後期にはそれらが解消され,ほぼ100%近い状態で計測を行うことが可能であった. 一方,計測した撮影画像はUnity(VR開発環境)を用いて開発したスマートフォン用のAR(拡張現実)表示アプリにより,予め定義したARマーカの状態に合わせて植物の生育画像が画面上に3次元マッピング表示できることを示した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終年度の研究計画を実施するために必要な試験装置および解析・可視化プログラムを準備できており,2019年度の研究計画はほぼ実施できている.
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度は,前年度と同様にホウレンソウ(葉菜類)と,新たにトマト(果菜類)の形質情報の自動計測を行う予定である.特に,近年ではRGB-Dカメラの性能向上が著しいので,植物生育計測の高度化の面から,現有のアクティブIRステレオ方式に加えて,新ToF方式のRGB-Dカメラの性能評価を行う.植物の生育計測は,日中および夜間を数時間毎の時間間隔で自動計測し,植物の生育量や運動量の定量評価を行う.栽培試験に関しては,灌水量,CO2濃度,さらには液肥濃度を変えた試験を行うことを検討すると同時に,栽培期間中を通して生育画像を連続自動撮影することにより,形質発現の差異を画像解析によって定量化する予定である.以上の実験を円滑に進めていくため,前年度に開発したチャンバーの制御プログラムや植物フェノタイピングロボットの走行・撮影制御プログラムの機能改善・拡張を行う.収集した画像については,前年度までと同様に発芽率,葉面積,葉数,草高に加えて,花や果実の抽出もできるようプログラムの拡張を図っていく予定である.そこで,人工知能を援用したより高精度な植物生育特徴量抽出プログラムの改良を行う. 一方,前年度に引き続きVRによる植物形質情報可視化アプリに対する機能拡張を行う.特に,実際の栽培空間で連続計測された環境情報のグラフ化や植物生育画像のAR空間内での効果的可視化手法に関する機能強化を中心に行う. 以上ならびに過去2年間の成果を総括し,3年間の研究成果をとりまとめる.
|
Causes of Carryover |
計画書の予算よりも研究費が減額されているため,現有物品を活用し計測装置をくみ上げることで研究費の確保を行った.また、当初年度内に購入する予定であったRGB-Dカメラの発売が延期されたため,その購入を次年度行うようにしたため,次年度使用額が生じた.
|
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Book] 新スマート農業2019
Author(s)
農業情報学会(編)(分担執筆)
Total Pages
516
Publisher
農林統計出版
ISBN
978-4-89732-407-4