2019 Fiscal Year Research-status Report
農業ビッグデータ活用によるトマト機能性成分の高含有化条件の探索と予測モデルの構築
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18K05907
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
圖師 一文 宮崎大学, 農学部, 教授 (50435377)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | トマト / 栽培環境 / 機能性成分 / 農業データ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,昨年度から引き続き栽培現場における農業ビッグデータ(気象,土壌,生育データ)とトマトの機能性成分含量の関連性を解明することによって,含量変動の可視化ならびに機能性成分含量を高めるための条件や予測技術を明らかにすることである.このために,本年度は,実験1)実際の栽培現場における調査・実験の継続および再現性評価,2)実験室レベルでの光環境がアスコルビン酸含量に及ぼす影響の二つを行った. 具体的には,実験1においては,2019年9月からトマト生産者圃場で既設の気象観測装置から気象データを取得するとともに,栽培期間中2週間毎に生育データ(光合成活性,蒸散速度,葉色,葉長・葉幅,開花位置など),品質データ(果重,果色,糖度,酸度,ビタミンC)の測定を行った.また,異なる時期に果実の貯蔵を行い,貯蔵性(果実硬度の変化,糖度・ビタミンC含量の変化,エチレン生成量)の評価を行った. 一方,実験2においては,実験室レベルで光環境がトマトの果実のビタミンC含量と抗酸化システムに及ぼす影響とそのメカニズムを明らかにするために,トマトを試験管内で培養することによって果実の環境を正確に制御できるin vitro培養トマト実験系を用いてグロースキャビネット内の光質(赤色光,青色光など)を変えてトマトを培養した.その後得られた果実の,ビタミンC含量および関連する抗酸化酵素活性の測定を行った. これらのことより,実際の栽培現場において,昨年度と同様に栽培時期によって生育パラメーター,糖度,ビタミンC含量が変動することが明らかになった.また,時期によって果実の貯蔵性が異なり,栽培時の気温などが影響することが示唆された.さらに,in vitro培養トマト実験系において光質(特に青色光照射)によってビタミンC含量が上昇することが明らかになり,これらについては現在論文投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,農家圃場下においてトマトを栽培し,機能性成分含量と気象,土壌,生育データなどの様々なデータを取得できた.また,光環境とビタミンCの関連性を明らかに出来た.これらのことからおおむね順調に進んでいると考えられる.最終的なデータ解析については農家圃場における栽培が終了していないために,栽培終了後行う予定としている.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度行った農家圃場下における気象データ(気温,光強度,日照時間,湿度,二酸化炭素濃度,飽差)の取得を今年度も継続して行うとともに,栽培期間中2週間毎に生育データ(光合成活性,蒸散速度,葉色,葉長・葉幅,開花位置など),品質データ(果重,果色,糖度,酸度,ビタミンC)の測定を行う.また,最終年度であることからデータの取りまとめと論文執筆を積極的に行う計画である
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Causes of Carryover |
本年度に購入した機器の購入のために前倒し申請を行ったが,機器の購入金額が抑えられたために次年度使用額が生じた.このため,生じた金額は成分分析のための試薬ならびに消耗品費に充てる予定である.
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