2018 Fiscal Year Research-status Report
生育経過推定によるイネ高温登熟障害リスク評価法の開発
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18K05909
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
神田 英司 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (90355272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝山 道郎 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (10354060)
下田代 智英 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (30315402)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 画像解析 / 天空カメラ / マルチバンドカメラ / 高温登熟障害 / SPAD値 |
Outline of Annual Research Achievements |
栄養成長期の成育パターンの異なる水稲を得るため、高温登熟障害が比較的発生しやすいヒノヒカリを6月25日に移植し、標準区と後期重点施肥区を設け、その後出穂期まで生育調査を行った。穂揃い後に3週間、圃場の周囲をビニルで覆う高温処理区と標準(無処理)区を設置した。収穫後に玄米品質調査を行った。栄養成長期の成育パターンの違いによる高温登熟障害リスク評価のための材料となる。 定点観測用のマルチバンドカメラを用いた水稲葉色の推定では、赤、緑および近赤外のバンド別反射率画像と太陽太陽高度・方位角とを用いたSPAD値推定モデルを作成し、アフィン変換等によるバンド別画像の合成を経て、SPAD値推定画像を作成することで、SPAD値の圃場内の変異、生育時期による変化についてもよく傾向を捉えていたが、絶対値の推定モデルとしては精度は十分ではなかった。葉色の低下と高温登熟障害リスクには関連があるため、面的、生育時期による変化の把握は重要である。 群落内で計測した透過光量子率とLAIの関係は、ばらつきがあるものの透過光量子率が小さいほどLAIは大きかった。今後群落上と群落内に光量子計を設置しLAIの推定を行う予定である。天空撮影画像を2値化した算出した植被率も大きいほどLAIは大きかった。しかし、2値化はLAIが2.00以下、植被率で30%以下のときには自動判別では困難であった。また、植被率が小さいときには昼間の撮影では太陽が画像中に入るため、太陽周辺画像の処理を別にするか切り捨てる必要があった。畝間からの天空方向の撮影であるため、出穂直前まで植被率が飽和せず算出できた。透過光量子率、天空撮影画像による植被率の推移による栄養成長期の成育パターンの評価が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水稲品種ヒノヒカリを6月25日に移植し、標準(慣行施肥)区と後期重点施肥区を設け、生育調査(葉齢、草丈、茎数、SPAD)を調査した。出穂後(2018年9月5日~26日)に周囲をビニルで覆う高温処理区と標準(無処理)区を設置した。収穫後に玄米品質調査を行った。 マルチバンドカメラを用いた水稲葉色の推定では、赤、緑および近赤外のバンド別反射率画像と太陽太陽高度・方位角とを用いたSPAD値推定モデルを作成し、アフィン変換等によるバンド別画像の合成を経て、SPAD値推定画像を作成することで、SPAD値の圃場内の変異、季節的変化についてもよく傾向を捉えていたが、絶対値の推定モデルとしては精度は十分ではなかった。 群落内で計測した透過光量子率とLAIの関係は、ばらつきがあるものの透過光量子率が小さいほどLAIは大きかった(r=-0.84, n=60)。船型ドローンなどに光量子計を設置すれば、群落外での光量子観測結果と併せてLAIの推定が可能であることが確認できた。天空撮影画像を2値化した算出した植被率も大きいほどLAIは大きかった。しかし、2値化はLAIが2.00以下、植被率で30%以下のときには自動判別では困難であった。また、植被率が小さいときには昼間の撮影では太陽が画像中に入るために光むらや白とびが生じるため、太陽周辺画像の処理を別にするか切り捨てる必要があった。植被率が大きくなると葉により太陽が隠される確率が高くなり影響は小さくなった。畝間からの天空方向の撮影であるため、出穂直前の8月22日まで植被率が飽和せず算出できた。葉が疎である時期は撮影場所の与える影響が大きいため、撮影箇所を増やして植被率を平均化すれば圃場内の生育むらの影響は解消する可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度試作した天空カメラによる圃場内の撮影装置を改良し、圃場での動画撮影回数、撮影箇所を増やし、画像解析による植被率の推定を行う。画像からの植被率の計測については自動化も試みる。また、天空方向に加え、稲体の撮影も行い、分げつ数や株の太さなど生育量との関連について調査する。 光量子センサを群落上に、ライン光量子センサを各処理区の群落内に設置し、生育量に伴う透過光量子率の推移を計測する。 植被率、透過光量子率の連続測定データおよび生育調査データに基づき、施肥時期による栄養生長パターンに違いがあるか明らかにする。さらに発育モデルと組み合わせ栄養成長期の生育経過の評価法を考案する。 施肥時期による高温登熟障害の発生状況を調査し、NSC、葉内でんぷん、糖含量などとの関連を調査する。考案された栄養成長期の評価と登熟期の気温、栄養成長期から登熟期までの日射量を用いた高温登熟障害リスクの評価法を構築し、九州地域における高温登熟障害リスクの回避に寄与する。
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Causes of Carryover |
試料の分析・解析が遅れたためであり、次年度分試料とまとめて分析・解析を行う予定である。 投稿料に使用予定であったが、学会からの請求が年度末に間に合わなかったため。
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Research Products
(1 results)