2018 Fiscal Year Research-status Report
咀嚼時の脳血流計測による認知脳科学的食嗜好判別手法の確立
Project/Area Number |
18K05911
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
朴 壽永 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (10573165)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大浦 裕二 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (80355479)
山本 淳子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食農ビジネス推進センター, 上級研究員 (00355471)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 認知脳科学 / 咀嚼 / ニューロマーケティング / 食嗜好判別 / fNIRS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で用いる脳活動計測機器はウェアラブル型WOT-220とHOT-1000である。WOT-220の同時計測箇所は前頭葉の22カ所で、HOT-1000は1ヶ所である。WOT-220は計測データの解析手法がまだ確立されていない状況で、体動の影響を除くためなどの既往研究における解析手順も複雑である。一方、HOT-1000の計測データは機器により体動の影響がほぼ自動で取り除かれるなど、計測や解析が比較的に容易であることから普及の観点でメリットが大きいと考えられる。 こうした理由から初年度には、まずHOT-1000を用いた食嗜好判別を行ったが、有意な判別結果を得ることができなかった。 脳活動計測による食嗜好判別実験では、50人の被験者を対象に、既往実験で有意であったWOT-220のch10とch19の2カ所に注目し実施した。10-20法による前頭葉のFp2とF7の付近である。試食材料は厚焼玉子とだし巻玉子焼、2種類のりんご(ふじと王林)を用いて、それぞれの異なる味に対する食嗜好判別を行った。また、一つの同じりんごを用いて高値と安値を提示することで価格による影響を調べた。玉子焼きの食嗜好の平均判別率はFp2の付近で49.7%、F7の付近で52.8%であった。2種類のりんごの平均判別率はそれぞれ51.0%と48.5%で、価格提示による同じりんごはFp2の付近で49.6%、F7の付近で49.2%であった。 HOT-1000による計測データは、ヘモグロビン濃度の両方(酸素化と脱酸素化)の和(Total-Hb)のみであり、既往研究で分析対象にした酸素化ヘモグロビン濃度でないことが一つの原因と考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前頭葉の脳活動を22カ所同時に計測するWOT-220に比べて、ピンポイントで1ヶ所を計測するHOT-1000の実践的活用可能性に注目し、初年度にHOT-1000を用いた実験を優先して行った。しかし、期待された実験結果を得ることが出来なかったため、研究成果の観点からやや遅れていると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
①脳活動の絶対量計測機器の新規導入:相対値でなく絶対量を計測できるとされる機器BOM-L1TRWのレンタルによる食嗜好判別実験を実施(5月~6月)。HOT-1000を用いた実験結果を補完するために、当初の研究計画にはなかった新規機器を導入し追加実験を行う。 ②脳活動計測機器のWOT-220とアイトラッカーによる食嗜好判別実験の実施(10月~12月) ③計測データの分析とまとめ
|
Causes of Carryover |
HOT-1000を用いた実験で有意な結果を得られなかったため、本年度に予定していた実験のサンプルサイズを減らした。 次年度に被験者数を増やす予定であり、次年度使用額は主に被験者の謝金と旅費として使用する。
|