2018 Fiscal Year Research-status Report
地上における広葉樹の効率的資源調査を実現するハード/ソフトウェアの開発
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18K05912
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
溝口 知広 日本大学, 工学部, 准教授 (30547831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 貴一朗 日本工業大学, 基幹工学部, 准教授 (90578551)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地上型レーザスキャナ / 森林 / 樹種判別 / 深層学習 / モバイルマッピングシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
地上における広葉樹の効率的な資源調査の実現を目指し,平成30年度は主に2つの研究課題に取り組み,それぞれ以下の成果を得た. 1)マルチモーダル学習による樹種判別:市販のカメラにて大学キャンパス内や公園にて取得したイチョウ,ケヤキ,サクラといった樹木を対象に,深層学習による樹種判別技術の開発を行った.判別の基準として,樹種ごとの特徴が明確に表れる樹皮と全体形状の2種類を選んだ.これらをそれぞれ異なる位置から撮影した2種類の画像を入力とし,マルチモーダルシステムにて樹皮と全体形状に関する特徴を定量評価し,それらを総合的に評価可能とする技術を開発し,深層学習フレームワークTeosnrFlowにて実装した. 2)点群データからの樹木の骨格構造抽出と材積推定:市販のモバイルマッピングシステムにより公園内を移動しながら取得した点群より,幹や太枝の材積を自動推定する技術の開発を行った.そのため,樹木ごとの点群をボクセル化し,ボクセル内に含まれる複数点の重心位置を算出し,隣接セル同士でこれらを接続するエッジを作成し,グラフを構築した.その後このグラフにラプラシアンスムージングを複数回適用することで細線化する.さらに,このポリラインに対しダグラスポーカー法を適用することで簡略化を行い,骨格構造を抽出する手法を開発した.また各骨格に該当する部分点群を抽出し,骨格の方向に平行な平面を一定間隔に設定し,各断面ごとの画像を作成した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)実施に当たり,樹種判別に詳しい樹木医と都内の公園を視察し,目視による判別の際のポイント等を理解した.そのうえで,市販のカメラで取得可能なデータを確認し研究を進めた.撮影距離・角度や日当たりなど,実用上課題となりうる点を考慮し,様々な条件の下で判別精度を評価した.その結果,まずマルチモーダルシステムの導入により,樹皮,全体形状をそれぞれ単体で評価した場合と比べ,判別率が向上することを確認した.また良質な画像のみを学習データとして選択することで,90%に迫る判別率を達成できることを確認した.対象樹種は3種と少ないものの,基本的な技術開発は完了しており,概ね順調に進んでいる. 2)公園内のイチョウやケヤキ等のデータに対して,点群に部分的な欠損が含まれる場合でも,安定に骨格構造を抽出でき,またそれらを単純化できることを確認済みでる.また各断面ごとの幹や枝の面積を評価できるところまで研究が進んでいることから,こちらも概ね順調に進んでいると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
1)今後はまず,判別対象の樹種を10種程度にまで広げる予定である.そのため大学近郊の公園にて大量の動画像を取得し,これを利用して技術改良と性能検証を進める.また動画像の利点を生かし,単一の樹木を撮影した複数画像を総合的に評価し判別を行える技術の開発を行う.加えて,移動しながら撮影した見え方の異なる画像での判別率の時間変化を確認するともともに,判別に有効な撮影条件を検討する.また,複数画像からSfM(Structure from Motion)にて3Dモデルを構築し,各樹木を撮影した部分画像を自動選択する技術の開発も行う.これに加え,GANにより疑似画像を大量作成し,これを深層学習における学習データとして利用することによる判別率の向上効果を検討する. 2)作成した断面ごとの画像から断面積をそれぞれ算出し,その総和として材積を算出する技術の開発を行う.また点群欠損部に対して点群を補完することで,材積を安定に算出可能な技術の開発も行い,その効果を検証する.実際の樹木をメジャー等で測定し,材積の算出精度を精密に評価する.
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Causes of Carryover |
当初は飛騨市内の広葉樹林にてカメラやスキャナでのデータ取得を検討しており,そのための予算を計上していた.しかしながら使用するカメラやスキャナの選定に予想以上の時間を要してしまい,飛騨市内森林は諦め,大学内や近隣公園にて手持ちのカメラとスキャナでデータ取得し研究を進めた.この予算は来年度以降のデータ取得のための旅費として使用する.
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Research Products
(2 results)