2019 Fiscal Year Research-status Report
蛍光計測に基づく青果物熟度の評価手法の確立と非破壊測定器の開発
Project/Area Number |
18K05913
|
Research Institution | Kisarazu National College of Technology |
Principal Investigator |
福地 健一 木更津工業高等専門学校, 基礎学系, 教授 (00218942)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嘉数 祐子 (大野祐子) 木更津工業高等専門学校, 基礎学系, 准教授 (30455117)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 蛍光スペクトル / 熟度 / 非破壊計測 / トマト / キウイフルーツ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究で,リコペンなどのカロテノイドに吸収されにくい620 nmの光でトマト(モモタロウ)を励起し,トマト内部より励起光入射軸より45°の方向に放出されるクロロフィル蛍光の強度比F688/F740の対数を指標(FMI)とすることで,緑熟から完熟の全期間で熟度評価を行うことができることを明らかにした。 本年度は,本手法の有用性を示す目的で,緑熟のトマトを追熟し,FMIと果皮色度 (L*a*b* 表色系 におけるa*値とa*/b*値)との関係を調べた結果,緑熟期においてFMIは果皮色度に変化があらわれる数日前より増加しはじめること,完熟後は,a*/b* 値と同様の変化をすることなどを明らにした。これらのことから,FMIを精度よく測定することで,トマトの熟度を評価できることおよび着色開始日を予測できる可能性があることを示すことができた。 また,昨年度に引き続き,追熟しても果皮色にほとんど変化が観察されないキウイフルーツの「ヘイワード」を用いて蛍光スペクトル変化を測定したところ,追熟条件(温度およびエチレン処理の有無)により,FMIの変化に大きな違いがあること,一定条件で追熟した場合,FMIと果実の表面硬度および糖酸比との間に相関があることなどを明らかにした。さらに,緑色のまま追熟するミニトマトの「みどりちゃん」,白桃の「さくら」を用いた測定においても,追熟によりFMIが増加することが確認できた。 一方,果皮が厚いために,内部より放出される蛍光が観察しにくい,アボカドおよびアンデスメロンを用いて,果皮表面より放出されるクロロフィル蛍光を測定したところ,アボカドでは,追熟にともないF685/F740が減少するが,アンデスメロンにおいてはそれが増加することが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トマトを用いて,従来手法である果実の表面色とFMIとの関係を明らかにすることができた。また,キウイフルーツを用いて,追熟条件を変えてFMIの変化を測定することができた。これらのことから,果実熟度をFMIで評価することの有用性と実用性を示すことができた。現在のところ,研究は,おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は,計画通り小型測定装置の作製に取り掛かる予定である。励起光源には半導体レーザもしくは大出力LEDを用い,蛍光計測には持ち運び可能な小型分光器を用いる。試作した装置により,樹上のトマトを供試して,屋外においてもFMIを精度よく測定できるか,調査する。
|
Causes of Carryover |
当該年度は,ほぼ計画通りに使用したが,前年度未使用額があったため,その分,次年度使用額が生じた。次年度は,持ち運び可能な装置の開発に取り組むため,制御に用いるモバイル型パーソナルコンピュータの購入に使用する予定である。
|