2019 Fiscal Year Research-status Report
The effects of cover crop containing allelochemicals on decomposition of organic matter and weed suppression in winter
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18K05918
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平田 聡之 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教 (60281797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 篤 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (30463269)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | カバークロップ / 土壌微生物相 / 冬期 / 分解 / 無機態窒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
冬期間におけるヘアリーベッチの分解が土壌の窒素状態および土壌微生物相に与える影響について評価した。 圃場調査ではヘアリーベッチ(マメスケ・寒太郎)、アカクローバ(メルビィ)と無処理(裸地)を除雪区(凍結処理)と無除雪区(積雪処理)に分割し、11月から4月まで月1回の頻度で土壌(0-13.5cm深)を採取し、無機態窒素および微生物由来窒素を測定した。ヘアリーベッチ区で2月以降に無機態窒素の上昇が認められ、3月以降に急上昇した。また、硝酸態窒素よりもアンモニア態窒素が高濃度であった。無機態窒素量および微生物由来窒素量は積雪区の方が凍結区よりも高かった。 培養試験では2℃と25℃の温度条件においてヘアリーベッチ(マメスケ・寒太郎)の分解による窒素放出量を測定した。対照として、ヘアリーベッチ由来窒素の50%に調整した尿素処理とさらにヘアリーベッチのアレロケミカルであるシアナミドを添加した尿素+シアナミド処理を設けた。培養後の無機態窒素量は、尿素処理および尿素+シアナミド処理では25℃区で培養後2日目、2℃区で培養後28日目に最大値となったが、ヘリーベッチ処理では25℃で培養後7日目、2℃区で培養後56日目に最大値となった。無機態窒素のほとんどはアンモニア態窒素であり、硝酸態窒素は25℃培養後28日目以降のマメスケ処理のみで上昇した。 微生物相の調査では、圃場試験の土壌(11月および3月採取)から合計141菌種(その他を含む)が同定され、Sphingomonadaceae、Phycisphaerae、Bacillaceae、Gaiellaceaeの頻度が高かった。冬期間においてPhycisphaeraeの割合が低下した。また、凍結区ではChthoniobacteraceaeやCaulobacteraceaeが減少したのに対し、積雪区では上昇し、処理間で明確に異なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の当初目的は概ね達成したが、土壌微生物相の更なる評価が必要である。ヘアリーベッチ残渣の分解は、アレロケミカルであるシアナミドが及ぼす効果よりも低温による影響が大きかった一方、シアナミドが無機化速度を抑制する効果が認められ、土壌微生物相に大きな影響を及ぼすことが示唆された。このことから、シアナミドが土壌微生物相に与える効果について更なる解析が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を統括するとともに、シアナミドが土壌微生物相に与える影響について評価を進める。シアナミドを含まないマメ科カバークロップ(アカクローバ、シロクローバ、アルファルファなど)にシアナミドを添加した培養試験を行い、シアナミドが植物残渣の分解過程および土壌微生物相に及ぼす影響を評価する。あわせてシアナミドと低温の相互作用についても検討する。
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Causes of Carryover |
土壌微生物相の分析に関わる一部の支払い分が、翌年繰り越しとなり次年度使用額が生じた。これらは、次年度に予定している分析費用と合わせて計画的に使用する。
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Research Products
(1 results)