2020 Fiscal Year Research-status Report
Creation of high functional soil aggregate for wastewater treatment to enhance nitrogen treatment performance of soil to the maximum
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18K05925
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| Research Institution | Shimane University |
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Principal Investigator |
佐藤 邦明 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 准教授 (60533289)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 土壌式水質浄化 / 硝化 / 脱窒 / 土壌団粒 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
これまで，土壌を利用した水質浄化法で最も重要なことは，浄化の核心部である土壌団粒へ，いかに有効に汚水を接触浸透させるかであると示してきた。そこで，耐水性の水質浄化用土壌団粒を作成し，土壌への汚水の接触を極限にまで高めようと考えた。その結果，有機物やリンについては従来の土壌式浄化法に比べ遥かに高い浄化能を示し，窒素浄化能を向上させる手法が見出せれば，本方法は優れた水質浄化法になり得ると期待された。そのため本研究では，硝化および脱窒に特化した土壌団粒を創製し，土壌の窒素浄化機能を極限にまで引き出すことを目的とした。窒素浄化能を強化する炭化物等の資材を土壌に混合して人工的に土壌団粒を作成し，この土壌団粒に硝化や脱窒菌群を集積させる運転管理手法の確立を目指す。
令和2年度では，前年までの調査結果を踏まえて新たに硝化用と脱窒用団粒を作成し水質浄化試験を行った。硝化用団粒ではアンモニア除去能の高いゼオライトを黒ぼく土に配合し，大小二種類の粒形で団粒を作成した。送気の有無による影響も評価した。粒径が小さい団粒の方で硝化能が高く，原水と団粒の接触する表面積が大きくなりアンモニア吸着や硝化に関して有効であったと考えられた。また，送気を行うことで，好気性菌である硝化菌の活動が促進し，特に粒径が小さい団粒に送気を行うことでより高い効果を発揮した。
脱窒用団粒では硝酸吸着能を高めた炭化物の混合割合を変化させた黒ぼく土団粒を作成した。陰イオン交換樹脂を混合した団粒も作成した。陰イオン交換樹脂を混合した団粒で硝酸吸着能が高く，脱窒が最も進行した。炭化物の混合割合が高い団粒で脱窒能が高く，吸着容量が高いほど脱窒能も高いことが示唆された。また，有機物の投入によって脱窒が進行したが，投入量によっては処理水のCODが上昇した。今後，有機物の種類，投入量，投入頻度の検討が必要であると考えられた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
窒素浄化に特化した高機能土壌団粒の創成を目指し，アンモニアまたは硝酸吸着能を持つ資材を混合した人工団粒について，その水質浄化性能をカラム試験によって評価した。
硝化用団粒において，竹，もみ殻，ヨシを原材料とする炭化物や陽イオン交換樹脂，ゼオライトを対象に陽イオン交換容量を評価し，人工土壌団粒に混合して硝化能の調査を行った。人工土壌団粒へアンモニア吸着資材を混合することで，硝化能を向上させられることが分かり，中でもゼオライトの優位性が示された。浄化試験後に資材分析を行ったところ，アンモニア吸着量は低く，硝化が速やかに進行していたことが示唆された。このため，さらなる高負荷での処理も可能であると考えられた。また，人工団粒の粒形や送気の影響評価から，粒径が小さい団粒に送気を行うことで，より高い硝化能を得られることが示された。
脱窒用団粒においては，硝酸吸着容量を高める溶液処理を行った炭化物，ハイドロタルサイトや陰イオン交換樹脂を対象に硝酸吸着能を評価し，人工土壌団粒に混合して脱窒能の調査を行った。有機源の定期的な投入が重要であることや，人工土壌団粒への硝酸吸着能を持つ資材の混合が脱窒能の向上に寄与することが分かった。処理竹炭では浄化試験後に吸着能の低下がみられたが，酸処理によって吸着能が再生することが分かった。また，炭化物の混合割合を変化させた人工土壌団粒を作成し，陰イオン交換樹脂の混合団粒と合わせて脱窒能を評価したところ，硝酸吸着能が高いほど脱窒能も高くなることが示された。
また，浄化試験後の資材を対象に硝化や脱窒にかかわる微生物を評価するためDNAの抽出を実施した。
令和元年度中に完了予定であった建物の改修工事が延長となり，あわせて新型コロナの影響で大学内での活動が制限され，数か月研究活動を行うことができなかった。このため水質浄化試験の実施が遅れることとなった。
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| Strategy for Future Research Activity |
気温の変化による影響も評価するため，令和2年度から開始した脱窒用団粒の水質浄化試験を継続して行い，有機物の投入量の検討も含めて評価を行う。硝酸態窒素の負荷量を変化させながら，人工土壌団粒の硝酸吸着容量と脱窒能との関係を評価する。水質浄化試験により人工団粒の性能を評価した後，窒素浄化メカニズムの解明と窒素浄化菌の制御手法の確立を目的に，これまで実施してきた水質浄化試験後のサンプルも含め，人工土壌団粒の微生物解析を行う。
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| Causes of Carryover |
研究室がある建物の改修工事が，予定されていた工期で終了せず，あわせて新型コロナの影響で大学内での活動が制限され，数か月研究活動を行うことができなかった。また，新型コロナの影響で発表予定であった学会がWeb開催となり旅費が発生しなかった。
次年度に実施する水質浄化試験や浄化後資材の解析に係る経費，データ解析のための書籍の収集に本経費を活用する。また，研究成果を学会で発表するための旅費や論文投稿費にも使用する計画である。
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