2020 Fiscal Year Research-status Report
PIF4タンパク質制御による二酸化窒素センシング機構の解明
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18K05926
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高橋 美佐 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 助教 (10294513)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 二酸化窒素 / シロイヌナズナ / PIF4 / 胚軸伸長 / 環境応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
大気中に含まれる二酸化窒素(10〜50 ppb)はバイオマス蓄積の促進、栄養生長および花芽形成促進を正に制御する植物成長調節因子である。二酸化窒素のかかる調節機構の究明は、植物生物学の基礎や新規学術領域の創成、また二酸化窒素は自然にどこにでもあるものであるが故に環境無負荷、省エネルギーしかも高収量の画期的農業生産技術開拓の視点からも重要である。植物の二酸化窒素受容機構(センシング機構)の解明は、同調節分子作用機構の解明において必須不可欠の課題である。胚軸伸長を指標として二酸化窒素感受性欠失変異株をT-DNA挿入ラインから選抜、解析し、同二酸化窒素不感受性株の原因遺伝子がPIF4であることを明らかにした。本研究はその分子的実態を究明し、PIF4タンパク質制御による二酸化窒素センシング機構の解明をめざす。 これまでに、PIF4遺伝子の発現は二酸化窒素によって変動しないことをq-PCR法およびウェスタンブロット法を用いて明らかにした。PIF4の標的遺伝子のプロモーター領域へPIF4タンパク質の結合が二酸化窒素により減少することをクロマチン免疫沈降(ChIP)法を用いて示した。また、PIF4-HA過剰発現シロイヌナズナを二酸化窒素処理してアフィニティー精製したPIF4-HAについて抗ニトロチロシン抗体を用いたウェスタンブロットを行ったがPIF4-HAにニトロ化は検出されなかった。PIF4-His組換えタンパク質発現ベクターを大腸菌で発現させてNiカラムを用いてPIF4-Hisをアフィニティー精製した。今後、該タンパク質を二酸化窒素処理して、ウェスタンブロット解析によりPIF4タンパク質の二酸化窒素によるニトロ化の有無を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
二酸化窒素処理に必須であるNOxチャンバーが故障したが、新型コロナウイルス感染症関連装置のメンテナンスが優先され、NOxチャンバー修理完了しなかった。そのため、計画していたアフィニティー精製したPIF4-Hisタンパク質およびPIF4とPIF4相互作用タンパク質を発現したシロイヌナズナ植物の二酸化窒素処理が実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、アフィニティー精製したPIF4-Hisタンパク質を二酸化窒素処理して、ニトロ化解析してPIF4の二酸化窒素センシング機能について明らかにする。さらに、PIF4とPIF4相互作用タンパク質を発現したシロイヌナズナ植物を二酸化窒素処理して相互作用について調査して、これらのタンパク質の二酸化窒素センシングにおける役割を明らかにする。
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Causes of Carryover |
本年度、予定通りに研究計画が進まなかったため。 PIF4タンパク質の二酸化窒素処理に必要なNO2ガスとタンパク質の相互作用解析に必要な抗体を購入するために使用する。
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