2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidaton of the solubilization effect of organic bromine by soil reduction and the bromine balance under paddy rice cultivation
Project/Area Number |
18K05927
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
赤木 功 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 助教 (40500004)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 臭素 / 土壌還元 / 水稲栽培 |
Outline of Annual Research Achievements |
水稲栽培を模したポット栽培において可溶化する臭素量の解明を試みた.2000分の1アールワグネルポットに黒ボク土および 褐色台地土を9 L(黒ボク土:8.2 kg,褐色台地土:9.0 kg)充填した.6月25日にイネ幼苗を定植し,慣行に従って栽培を行った.ポット底部から1日あたり1 L(減水深 20 mm/日相当)となるように排水させるとともに,田面水の水深が10 cmとなるように水管理を行った. 浸透水によるポットからの臭素の累積溶脱量は,栽培開始5週間後において3.5 mg(黒ボク土)および5.3 mg(褐色台地土),10週間後において6.7 mg(黒ボク土)および10.2 mg(褐色台地土),16週間後において12.5 mg(黒ボク土)および12.2 mg(褐色台地土)であった.これらの結果を基にすると,水稲栽培期間において,1 m2あたり250 mg(黒ボク土)ないし244 mg(褐色台地土)の臭素が可溶化し,溶脱されると推測された.収穫された水稲体(地上部)中の臭素含有率は,黒ボク土で28.6 μg/g(稲わら)および2.5 μg/g(籾),褐色台地土で20.4 μg/g(稲わら)および2.1 μg/g(籾)であった.イネの栽植密度を20株/m2とすると,1 m2あたり41 mg(黒ボク土)ないし23 mg(褐色台地土)の臭素が,水稲によって土壌から吸収されたと推定された.一方,水稲栽培期間における灌漑水中の臭素濃度は平均36.1μg/Lであり,灌漑水から土壌へ供給された臭素量は94 mg/m2(黒ボク土)ないし64 mg/m2(褐色台地土)と推定された.還元化によって可溶化した土壌臭素量を,[浸透水による溶出量]+[水稲による吸収量]-[灌漑水からの供給量]として算出すると,197 mg/m2(黒ボク土)ないし203 mg/m2(褐色台地土)と推定された.
|