2019 Fiscal Year Research-status Report
Application of selection for desired changes for improving the ratio-defined character
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18K05934
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 正寛 東北大学, 農学研究科, 教授 (70370658)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 比の形質 / 正規分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、比の形質を改良するうえで最も効率的な手法を開発する。また、例えば乳脂率と乳量のように、比の形質とその構成形質を同時に改良したいとき、最も効率のよい選抜手法を開発する。 本年度は、比の形質における表現型値の分布について、比の形質を構成する分母および分子の形質(構成形質)による影響を検討した。実データでは、比の形質が正規分布と大きく異なるとは限らないことが示唆された。コンピュータシミュレーションでは、比の形質における表現型値の分布形状に対して、構成形質における表現型値の変動係数および表型相関が影響し、表型平均、遺伝率、構成形質間の遺伝相関および環境相関の影響はなかった。 次に、比の形質を構成する分母および分子の形質の遺伝率を0.1および0.5とした4通りの組み合わせおよび構成形質間の遺伝相関および環境相関を-0.5、0、0.5とした9通り組み合わせの計36通りの遺伝的パラメーターを設定し、コンピュータシミュレーションによって発生させたデータを用いて、比の形質における遺伝的パラメーターを推定した。比の形質における遺伝率の推定値は、0.03から0.70の範囲であった。比の形質との相関は、分母の形質で負、分子の形質で正の値が推定される傾向がみられた。一方、比の形質との遺伝相関は、分母の形質でほぼ0、分子の形質で負の値が推定される場合があった。構成形質の遺伝率、構成形質間の遺伝相関および環境相関は、比の形質における遺伝的パラメーターの推定値に影響を与えることが示唆された。 さらに、2つの形質が標準正規分布する場合のそれらの比の形質における表現型値の確率密度関数を導くとともに、相関のある2つの形質が正規分布する場合のそれらの比の形質における表現型値の作図法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた通り、現在までの研究の達成度は、ほぼ当初の計画通り順調である。今後は、比の形質を構成する分母および分子の形質に異なる遺伝的パラメーターを設定し、それらを選抜したときの影響をコンピュータシミュレーションによって検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
比の形質を構成する分母および分子の形質に異なる遺伝的パラメーターを設定し、それらを選抜したときの影響をコンピュータシミュレーションによって検討する。そのためには、まず比の形質を構成する2つの形質(構成形質)に正規分布を仮定し、これらの平均や分散を変えることで比の形質における遺伝的パラメーターおよび比の形質と構成形質との相関を推定する。次に、これらの遺伝的パラメーターを用いて選抜を実施したときの選抜反応を調べる。
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Causes of Carryover |
出席を予定していた複数の学会がCOVID-19の影響で中止となり、旅費の執行ができなくなり、次年度使用額が生じた。改めて、次年度の学会に出席し、研究発表を行うとともに、研究内容を論文にまとめて公表する。
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