2022 Fiscal Year Research-status Report
Application of selection for desired changes for improving the ratio-defined character
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18K05934
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 正寛 東北大学, 農学研究科, 教授 (70370658)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 制限付き選抜 / 比の形質 / 血縁情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、比の形質を改良する上で欠かせない相対希望改良量を達成するための効率的な選抜手法について、すべての血縁情報を用いた選抜指数から改良目標形質の重み付け値を算出し、その値と多形質の混合モデル方程式における変量効果の解(育種価のBLUP)との積和から算出した推定総合育種価を選抜指標とする選抜理論を考案した。以下、本研究で考案したすべての血縁情報から求めた重み付け値を「集団ベースの重み付け値」とよぶ。 この選抜理論の精度を検証するため、世代重複のない血統情報および形質記録を発生させる無限遺伝子座を仮定したモンテ・カルロ法シミュレーションプログラムを作成した。このプログラムを用いて、①選抜候補個体ベースの重み付け値、②選抜候補個体に加え,祖父母,両親、および選抜候補個体と両親の全きょうだいの記録の情報を用いた家系ベースの重み付け値との比較を行った。その結果、遺伝的パラメーターが一定のとき、家系の情報量が多い重み付け値ほど、選抜反応は1:1に近づく傾向がみられた。しかし、選抜反応の標準偏差は、情報量とともに減少する傾向がみられたものの、その減少量は僅かであった。集団ベースの重み付け値を用いて選抜を行った場合、集団サイズの大きいほうが選抜反応は1:1に近かった。 次に、シミュレーションの結果得られた選抜集団の育種価を、相対希望改良量を達成するための単一評価基準(Satoh, 2019)により評価した。その結果、評価基準の大きさは遺伝的パラメーターによって異なり、集団ベースの重み付け値による評価は個体ベースのそれに比べ、1~33%の増加となった。以上の結果から、集団ベースの重み付け値は個体ベースの重み付け値や家系ベースの重み付け値よりも優れていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の達成度は、ほぼ当初の計画通り順調である。本年度は、従来の方法よりも制限付き育種価の推定精度が高いと考えられる新たな理論を検証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
比の形質を改良するための新たな理論による制限付き育種価の予測精度を検証するため、相対希望改良量を達成するための効率的な選抜手法についてモンテ・カルロ法によるシミュレーションを用いた。この理論による育種価の予測精度の検証方法には、今回用いた選抜反応による検証のほか、選抜対象集団における育種価と予測育種価との相関係数による検証法、混合モデル方程式における左辺の逆行列を用いる検証法の3つが考えられる。これらの検証法による精度を明らかにすることで、選抜反応のより効率的な検証法について検討する。この研究により、モンテ・カルロ法によるシミュレーションを用いた様々な選抜理論の検証において最も有効な方法を明らかにする。
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Causes of Carryover |
次年度は本年度考案した手法による研究成果の論文投稿を予定しており、主として英文校閲や投稿料、オンラインオープンの掲載料等に使用する。さらに、次年度研究予定の成果の英文校閲や投稿料等に使用する。
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Research Products
(3 results)