2020 Fiscal Year Research-status Report
ウシ卵母細胞の機能的完全性を裏打ちする卵丘細胞の分子生物学的特徴
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18K05937
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
杉村 智史 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (00728454)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ウシ / 卵子 / 成熟 / 卵丘細胞 / 発生能 |
Outline of Annual Research Achievements |
生育可能卵子を取り囲む卵胞細胞の分子生物学的特徴の解析を目的とした。これまでに申請者は、卵成熟に先駆けた卵胞細胞におけるcAMP-PKA系の活性化がウシ卵子の発生能獲得に重要であることが明らかにした(2019年度)。一方、生体内卵子吸引(OPU)に先駆け、FSHの漸減投与を行うことで卵母細胞の発生能が向上すること、また、卵丘細胞の転写プロファイルが劇的に変化することを明らかにした。卵母細胞の発生能は卵胞細胞と卵胞液によって制御されているが、卵胞液の組成は卵胞細胞の代謝的・分子生物学的特徴を反映していることが示唆されている。そこで、OPUに先駆けたFSH投与が卵胞液の代謝プロファイルに及ぼす影響を解析した。結果、FSH投与による卵胞発育処理が卵胞細胞のグルコース代謝を抑制することを明らかにした。RNA-seqの結果から、卵胞発育処理によりMAPK経路が抑制されることが明らかにしており、卵胞発育処理により、MAPKシグナリングが抑制され、それによりグルコース代謝が抑制されたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高発生能卵母細胞を取り囲む卵胞細胞の分子生物学的な特徴に加え代謝的な特徴も明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回明らかになった知見を体外成熟培養系に応用することで、体外での効率的胚生産を試みる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で予定していた実験の一部が完了しなかったため次年度にその分を充てる。特に当初計画していた卵巣および生体数が確保できなかった。893600円については、培養、解析等に係る消耗品および論文執筆費用に充てる。
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