2019 Fiscal Year Research-status Report
暖地型マメ科牧草混播草地の管理方法の検討ならびに根粒菌及び菌根菌の貢献度の検討
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18K05949
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
飛佐 学 宮崎大学, 農学部, 准教授 (30332844)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 暖地型マメ科牧草 / 根粒菌 / アーバスキュラー菌根菌 / 生産性 / 共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
南九州地域での暖地型マメ科牧草の生産と利用技術の開発を目標に,省力的な栽培管理利用法を確立するための基礎的知見を得る目的で,暖地型マメ科牧草ファジービーン(Pb),バーガンディビーン(Bb),サイラトロ(Si),センチュリオン(Ce),グライシン(Gl),グリーンリーフデスモディウム(Gd),カウピー(Co),アメリカンジョイントベッチ(Aj)およびクロタラリア(Cn)の生産性の比較を行った。栽培試験は宮崎大学内(S-1)および鹿児島県大隅半島の中山間地域(S-2)で実施した。S-1において,PbおよびCnは乾物収量(DMY),可消化乾物収量(DDMY)および粗タンパク質収量(CPY)で他の草種より高い傾向を示した。個体当たりの根粒数は,10月ではPbが最も高かった。S-2において,10月ではCo,Aj,Cn,Si,Bb,Gd,Gl,PbおよびCeの順にDMY,CPYおよびDDMYが高かった。個体当たりの根粒重は9月においてはAjが最も高く次いでPbであったが,10月においては9月の値から増加した草種(Aj,Gd,Cn,Co)と同程度または低下した草種が認められた。両試験地共にアーバスキュラー菌根菌の菌根形成が確認でき,8月では草種間の差は認められなかった。両試験地共通草種のDMYについて試験地間の比較を行ったところ,Pb,CeおよびGl以外の草種においてS-1よりもS-2で高い値を示したが,これには気象条件や土壌条件が影響したものと考えられた。 ポット試験において,PbとSiを用い,共生菌である根粒菌と菌根菌の接種組み合わせ(接種有無)が,牧草の初期生育,根粒形成,菌根形成に及ぼす影響について調査を行い,菌根菌接種により初期生育が一時的に抑制されることが明らかとなり,初期生育時の根粒菌,菌根菌および植物の間の関係を詳細に検討する必要があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
圃場試験においては,2地域において新規導入暖地型マメ科牧草の特性,根粒形成,菌根形成状況を調査,検討することができ,ほぼ計画通りに実施できた。ポット試験においては,初期生育時の菌根菌接種の影響が確認できたが,次年度以降詳細な調査を実施予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
圃場試験においては,2019年度に造成したマメ科草地の越冬性について検討する。また,2地域において生産性に一貫性が見られなかったことから,次年度においても一部同様の試験を行い,生産性,根粒形成,菌根形成状況,家畜飼料としての栄養成分の評価を行うこと,また南九州地域での栽培利用が有望な草種を選定し,暖地型イネ科牧草との混播栽培試験を行い,混播栽培利用の可能性を検討する。 ポット試験において,暖地型マメ科牧草(圃場試験で供試した草種)を用い,牧草の生育状況を調査すると共に,根粒形成,菌根形成,植物体内窒素およびリ ン含量等について詳細な調査を行い,植物と根粒,菌根の関係{マメ科植物と根粒菌(共生関係),マメ科植物と菌根菌(共生関係),根粒菌と菌根菌(光合成 産物の分配バランス,土壌養分の変動による影響)}について検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症発生のため,2-3月に予定していたアーバスキュラー菌根菌の菌根形成状況調査ができなくなったこと,および成果発表のため出席予定であった学会大会が中止になり旅費の使用がなくなったため。 今年度実施できなかった調査を次年度に実施予定(調査に必要な試薬や器具等を購入)である。
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