2021 Fiscal Year Research-status Report
暖地型マメ科牧草混播草地の管理方法の検討ならびに根粒菌及び菌根菌の貢献度の検討
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18K05949
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
飛佐 学 宮崎大学, 農学部, 教授 (30332844)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 暖地型マメ科牧草 / 根粒 / 混播 / アーバスキュラー菌根菌 / 生長 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポット試験において,暖地型イネ科牧草とマメ科牧草の混播栽培時の播種割合が生産性およびアーバスキュラー菌根菌(AM菌)の菌根形成に及ぼす影響を比較検討した。ファジービーン(品種Murray Pb)およびギニアグラス(品種ナツカゼ Gg)を用い,播種量を単播ではそれぞれ1.0 g/m2とし,混播区は,Pb:Ggが0.25:0.75,0.5:0.5,0.75:0.25(g/m2)となるように散播した。AM菌(Glomus属)を全てのポットに施用し,乾物重およびAM菌の菌根形成等を調査した。栽培期間を通して単播区Pbの乾物重は単播区Ggより低く推移し,PbとGgを合わせた乾物重はPbの混播割合の高いものほど低い値となった。混播区の菌根形成率はPbおよびGg共に同様の値を示し,草種による差は認められなかった。最終調査時の地上部粗タンパク質(CP)含有率はPbがGgより有意に高く,混播区ではPbの混播割合の高いものほど高い値を示す傾向にあった。CP重はPbの混播割合の高いものほど単播区Ggより高い値を示す傾向にあった。本研究の条件下ではGgにPbを混播することでGg単播区よりもCP含有率およびCP重を高める傾向を示すこと,菌根形成率には差が認められないことが明らかとなった。 種子成長袋を用いて,根粒菌・AM菌の接種がPbの初期生長に及ぼす影響について検討した。根粒菌の有無の2水準,AM菌の有無の2水準の処理を設け,インキュベーター内で栽培した。根粒は2週間目にはわずかに確認され,4および5週間では,粒径の大きな根粒が確認できたが,菌根形成はすべての菌接種区で確認することができなかった。本研究の条件下では根粒菌・AM菌の接種はPbの草丈や根長の生長の過程に一時的に影響を与えたが,乾物重に影響を与えなかった。また,根粒・菌根の形成時期を比較すると,根粒の形成の方が早いと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により,研究活動が制限されたこと,実験施設の改修工事のため,実験施設の一時的な移動があり,一時的に試験を中断した。 ポット試験においては,暖地型マメ科牧草と暖地型イネ科牧草との混播栽培時の播種割合と生産性,家畜の粗飼料としての栄養成分を調査,検討することができたが,初期生育時の根粒菌とアーバスキュラー菌根菌接種の影響について,詳細な調査を実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に実施できなかった試験を実施する。 圃場試験においては,2020年度に実施した暖地型マメ科牧草と暖地型イネ科牧草との混播栽培時の播種割合と生産性,根粒形成,菌根形成状況,家畜飼料としての栄養成分の評価など同様の試験を行い,結果の整合性を確認し,混播栽培利用時の播種割合を検討する。 ポット試験において,暖地型マメ科牧草(ファジービーン及びサイラトロ)を用い,2021年度と同様牧草の初期生育段階での根粒形成,菌根形成等について詳細な調査を行い,植物と根粒,菌根の関係{マメ科植物と根粒菌(共生関係),マメ科植物と菌根菌(共生関係),根粒菌と菌根菌}について詳細な検討を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症による活動制限や実験施設の改修工事による試験の一時的中断によりアーバスキュラー菌根菌の菌根形成状況等の詳細な調査ができなかったこと,および成果発表のため出席予定であった学会大会が遠隔実施になり旅費の使用がなくなったため。 2021年度実施できなかった調査を2022年度に実施予定(調査に必要な試薬や器具等を購入)である。
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