2018 Fiscal Year Annual Research Report
ウシにおけるプロラクチンのストレスレジリエンス評価指標としての有効性の検討
Project/Area Number |
18K05962
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
粕谷 悦子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 上級研究員 (90355743)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ウシ / 隔離 / ストレス / プロラクチン / レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
ウシのストレスに対する強さ(ストレスレジリエンス)の評価ツールとして、下垂体からのプロラクチン分泌レベルが利用可能かどうか検討するため本研究は計画された。全体を通じて、第3脳室内に直接ストレス関連物質を投与して影響を見る薬理的な模擬ストレス負荷および個体を隔離する心理的なストレス負荷をあたえ、それぞれの条件下でのプロラクチンと視床下部-副腎系の関係を明らかにし、それらの結果からプロラクチンのストレスレジリエンス評価ツールとしての有効性を総合的に検証する。本年度は、心理的ストレスとして、群飼されている個体を群れから隔離する条件を設定し、ストレス負荷前後の血中プロラクチン濃度を測定する実験を行った。4ヶ月齢のホルスタイン種子牛10頭(雌7頭、去勢3頭)を用いた。実験当日朝に通常飼育牛舎内ペン(3-5頭の群飼)内にてあらかじめ頚静脈カテーテルを装着し、隔離開始の20分および直前に採血した(基礎値)。その後ウシを運搬車により約5分間輸送し、実験牛舎内ペン(1頭用)に搬入した。搬入直後を0時とし、その後5時間にわたり20分間隔で採血した(ストレス負荷後値)。遠心分離により得た血漿中のプロラクチン濃度をラジオイムノアッセイにより測定した。ストレス負荷後、血中プロラクチン濃度は基礎値にくらべ高値を示し、その後1時間後には基礎値と同じレベルになった。血中プロラクチン濃度が心理的ストレスである隔離により増加することから、プロラクチン分泌レベルの変化が、ウシにおいてストレス反応の指標となる可能性が示唆された。
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