2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K05963
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 篤史 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (50431507)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プリオン / クロイツフェルト・ヤコブ病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、遺伝性プリオン病の原因遺伝子変異であるM232R変異がプリオン蛋白異常化を誘導する分子メカニズムを解明することを目指している。M232Rはプリオン蛋白成熟の過程で除去されるGlycosylphosphatidylinositol(GPI)アンカリング シグナルペプチド中に存在するため、変異アレルからも野生型と全く同じアミノ酸配列の成熟プリオン蛋白がつくられる。それにもかかわらず、どうしてM232R変異がプリオン病を引き起こすのか、その理由は分かっていない。 本年度はまず、M232R変異遺伝性プリオン病患者およびM232R変異導入ヒトプリオン蛋白ノックインマウスにおける異常型および正常型プリオン蛋白GPIアンカーのシアル化状態を二次元電気泳動およびレクチンブロットにより解析した。すると、M232R変異プリオン蛋白と野生型プリオン蛋白との間でブロットパターンに差は見られず、シアル化状態に違いは認められなかった。次に、M232R変異遺伝性プリオン病患者およびM232R変異導入ヒトプリオン蛋白ノックインマウスにおける異常型および正常型プリオン蛋白の局在を免疫染色により解析した。すると、M232R変異プリオン蛋白と野生型プリオン蛋白との間で脳内分布に差は見られず、神経細胞内における局在にも違いは認められなかった。 本年度の研究実績によりM232R変異はプリオン蛋白のシアル化および局在には影響しない可能性が示唆された。これらの点をより詳細に確認するため、次年度にはプリオン蛋白の質量分析(LC-ESI-MSMS)およびM232R変異導入ヒトプリオン蛋白ノックインマウス由来初代培養神経細胞の蛍光免疫染色をおこなう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度はまず、M232R変異遺伝性プリオン病患者およびM232R変異導入ヒトプリオン蛋白ノックインマウスにおける異常型および正常型プリオン蛋白GPIアンカーのシアル化状態を二次元電気泳動およびレクチンブロットにより解析した。すると、M232R変異プリオン蛋白と野生型プリオン蛋白との間でブロットパターンに差は見られず、シアル化状態に違いは認められなかった。次に、M232R変異遺伝性プリオン病患者およびM232R変異導入ヒトプリオン蛋白ノックインマウスにおける異常型および正常型プリオン蛋白の局在を免疫染色により解析した。すると、M232R変異プリオン蛋白と野生型プリオン蛋白との間で脳内分布に差は見られず、神経細胞内における局在にも違いは認められなかった。 当初予定では、初年度はM232R変異遺伝性プリオン病患者およびM232R変異導入ヒトプリオン蛋白ノックインマウスにおける異常型および正常型プリオン蛋白GPIアンカーのシアル化状態の解析をおこなうだけの予定であった。しかし初年度のうちに、プリオン蛋白GPIアンカーのシアル化状態の解析に加え、M232R変異遺伝性プリオン病患者およびM232R変異導入ヒトプリオン蛋白ノックインマウスにおける異常型および正常型プリオン蛋白の局在解析もおこない、結果もすでに得ている。 上記の理由から現在までの進捗状況の区分は「(1)当初の計画以上に進展している。」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究実績により、M232R変異はプリオン蛋白GPIアンカーのシアル化状態およびプリオン蛋白の細胞内/脳内局在には影響しない可能性が示唆された。これらの点をより詳細に確認するため、次年度にはプリオン蛋白GPIアンカーの質量分析(LC-ESI-MSMS)およびM232R変異導入ヒトプリオン蛋白ノックインマウス由来初代培養神経細胞の蛍光免疫染色をおこなう。質量分析では、プリオン蛋白GPIアンカーのシアル化状態がより詳細に分かるだけでなく、シアル酸以外の糖鎖構造の違いの有無も明らかにできると考えられる。また、M232R変異導入ヒトプリオン蛋白ノックインマウス由来初代培養神経細胞でのプリオン蛋白局在解析では、脳組織切片での解析よりもシナプスや細胞小器官への分布が見やすくなると考えられる。これらの解析を通して、M232R変異によってプリオン蛋白GPIアンカーのシアル化状態やプリオン蛋白の細胞内局在が変化するのか結論を出す。また、次年度には、プリオン蛋白GPIアンカーのシアル化をなくすことでプリオン蛋白の異常化に影響が出るかを調べるため、GPIアンカーのシアル化が起きないPGAP4 KOマウスにプリオンを用いてプリオン感染実験を開始する。感染マウスにおける潜伏期間、異常型プリオン蛋白の沈着パターンおよび生化学的性質、病変を解析し、プリオン蛋白GPIアンカーのシアル化抑制がプリオン病の病態に与える影響を調べる。
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Research Products
(15 results)
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[Presentation] Characterization of “sporadic CJD” with history of neurosurgery to identify iatrogenic cases2018
Author(s)
Tsuyoshi Hamaguchi,1 Kenji Sakai,1 Atsushi Kobayashi,2 Tetsuyuki Kitamoto,3 Ryusuke Ae,4 Yosikazu Nakamura,4 Nobuo Sanjo,5 Kimihito Arai,6 Mizuho Koide,6 Fumiaki Katada,7 Masafumi Harada,8 Hiroyuki Murai,9 Shigeo Murayama,10 Tadashi Tsukamoto,10 Hidehiro Mizusawa,10 Masahito Yamada.1
Organizer
EuroCJD meeting 2018
Int'l Joint Research / Invited
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