2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of mechanisms of drug resistance of Babesia gibsoni using the next generation sequencer.
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18K05966
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山崎 真大 岩手大学, 農学部, 教授 (40322846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 直宏 岩手大学, 農学部, 助教 (00784315)
井口 愛子 鳥取大学, 農学部, 講師 (90777020)
茂木 朋貴 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (40803416)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Babesia gibsoni / 次世代シークエンサー / ジミナゼン耐性 / リアルタイムPCR |
Outline of Annual Research Achievements |
Babesia gibsoniがdiminazene aceturateに対する薬剤耐性を獲得するメカニズムを明らかにするために、2018年度にはそのDNAおよびRNAを抽出し、次世代シークエンサーによる解析を行った。この結果、大まかに発現量が増加する遺伝子、変化しない遺伝子、減少する遺伝子に分類できたが、2019年度には得られたデータをもとに、解析を詳細に実施した。この解析のために、東京大学の茂木助教を研究分担者に加え、データを様々な方法で解析した。結果として、B. gibsoniがdiminazene aceturate耐性を獲得したときには、トレハロース6リン酸合成酵素やゴルジ複合体のタンパク質をコードする遺伝子の発現量が増加していることが予想された。遺伝子発現量の変化を正確に測定するために、リアルタイムPCRを用いてこの発現量の変化を測定し、次世代シークエンサーによる発現量解析が正確であることを確認した。また、それらの遺伝子の塩基配列が正確に解析されているかを確認するためにダイレクトシークエンスによりこれらの遺伝子の全長をクローニングし、塩基配列もほぼ正確に解析できていることを確認した。DNAとRNAの解析結果を比較することでイントロンを明かにできることも確認した。さらに、別の解析方法でもトレハロース合成酵素の発現量が増加していることが示され、薬剤耐性獲得にトレハロースが何らかの関与をしていることが疑われている。ただし、DNAの解析においては得られたデータ量が不足しており、B. gibsoniの全塩基配列を決定するにはさらなる解析が必要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次世代シークエンサーによる解析は概ね順調に進行している。薬剤耐性に関与していることが強く疑われる遺伝子を同定できてきたことから、今後はこの遺伝子について機能などを追求していく必要がある。研究を遂行するにあたり、Babesia gibsoniにはリファレンスとなる全塩基配列が報告されていないことから、更なる研究遂行のため、また他の研究者も利用可能となる様に全塩基配列を解析し報告することが必要であることが明らかになってきている。このリファレンスを作成したのちに、もう一つのテーマであるアトバコン耐性についても2020年に解析を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まずはB. gibsoniの野生株と薬剤感受性株についてDNAの解析を再度実施し、B. gibsoniの全塩基配列の解析を試みる。全塩基配列は、ほかの研究者も利用可能となる様に公開することを目指す。その後、アトバコン耐性株についてもDNAおよびRNA解析を実施する。アトバコン耐性株は、すでにミトコンドリア遺伝子にM121Iという遺伝子変異が存在することが報告されているが、これ以外に変異はないのか、M121Iが主たる変化であるかどうかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究分担者の茂木朋貴氏(東京大学)による次世代シークエンサー解析のために必要なコンピューターの備品調達などにおいて、今年度必要な備品について調達を行なったが、予定されていたものよりも安価に調達が可能であったため、残予算を繰越し、次年度にさらなるコンピューターの整備や、有料のソフトウェアの利用などに予算を使用する予定である。
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