2018 Fiscal Year Research-status Report
Pathological analysis of nasopharynx and lung caused by respiratory disease virus in pigs
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18K05974
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
平井 卓哉 宮崎大学, 農学部, 准教授 (60321668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
目堅 博久 宮崎大学, テニュアトラック推進機構, 助教 (90633264)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 豚 / PRRS / 豚インフルエンザ / 病理 / 病態解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
豚の呼吸器複合感染症は、PRRSが主となり、上記の複数の病原体が複雑に関与して肺病変を形成する。PRRSは主に経鼻感染し、初感染部位は鼻咽腔であるにも関わらず、豚の鼻咽腔病変を病理学的に解析されたものは極めて少ない。また、豚呼吸器複合感染症と豚インフルエンザウイルス感染についてはウイルス分離もしくは遺伝子検査が中心となり、病理学的解析が十分になされていない。このため本症の肺病変と豚インフルエンザウイルス感染との関連性については不明確である。 宮崎県内の母豚規模約500頭の繁殖1農場において、豚インフルエンザウイルスおよびPRRSウイルス感染の実態調査を行った。8月~11月にかけて、子豚(5~11週齢)の口腔液もしくは鼻腔スワブを2週間ごとに採材し、RT-PCRもしくはインフルエンザ検出キットを用いて豚インフルエンザウイルスの検出を行った。104検体中インフルエンザ陽性検体数は10検体であった。これらの内訳は、8月に3検体、9月に4検体、10月に1検体、11月に2検体であり、毎月検出された。10検体中2検体がPRRSウイルスも陽性であった。また、10検体中3検体で豚インフルエンザウイルスが分離された。これらのウイルス亜型はH1N1であった。その他に県内の他農場で鼻腔スワブ2検体より豚インフルエンザウイルスが分離され、その亜型はH1N1であった。本年度に分離された豚インフルエンザは合計5検体であった。 前記の繁殖農場において11月に臍ヘルニアや歩行異常を示す豚6頭を剖検したところ、1頭の鼻腔スワブで豚インフルエンザが検出された。本例には鼻咽腔炎、気管炎、気管支間質性肺炎が認められ、細菌感染による病変は軽度であった。免疫組織学的検査にて鼻腔上皮、気管上皮、気管支上皮にウイルス抗原が検出された。このウイルス亜型はH1N1であった。本例は、PRRSウイルス陰性であった。今回の症例は明らかな呼吸器症状を示しておらず、不顕性感染と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
鼻咽腔におけるPRRSの病変解析が遅れている。PRRSウイルスのin situ hybridizationが不安定になり、遺伝子の検出ができなかった。現在、原因を究明中である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的は当初の予定通りで変わりはないが、野外サンプルでは病理学的解析に限界があるため、方法論の一部変更が必要になった。 1)鼻咽腔におけるPRRSウイルスの増殖様式や鼻咽腔病変を解析する。 2)今年度、偶然にも豚インフルエンザ感染豚を1例病理学的検索することができたが、ウイルス排泄期間が短く、不顕性感染が多いため、野外感染例を病理学的検索することは極めて難しい。そこでマウスを用いた豚インフルエンザ感染実験を行い、実験例と野外例の病変を比較・検討する。
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Causes of Carryover |
研究目的は当初の予定通りで変わりはないが、野外サンプルでは病理学的解析に限界があるため、方法論の一部変更が必要になった。次年度は豚インフルエンザ感染実験を行い、実験例と野外例の病変を比較・検討する予定である。
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