2019 Fiscal Year Research-status Report
Pathological analysis of nasopharynx and lung caused by respiratory disease virus in pigs
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18K05974
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
平井 卓哉 宮崎大学, 農学部, 准教授 (60321668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
目堅 博久 宮崎大学, キャリアマネジメント推進機構, 助教 (90633264)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 豚 / PRRS / 豚インフルエンザ / 病理 / 病態解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、豚呼吸器複合感染症の研究対象を主にPRRSウイルスと豚インフルエンザウイルス(SIV)とし、それらの鼻咽腔病変および肺病変を明らかにする。野外サンプルでは病理学的解析に限界があるため、昨年度、南九州の呼吸器病罹患豚より分離されたSIVをマウスへ実験的に感染させ、本ウイルスによる呼吸器病変の病理学的解析を行い、実験例と野外例の病態を比較・検討した。 本実験において感染実験前に上記SIVのマウスへの馴化を行った。馴化株作製には、マウスで継代を18代実施した。馴化ウイルス(Sw615-18th)を用いた実験では、接種したマウスを接種後3日、5日、7日に剖検し、それらの病変を検索した。また、馴化前の元株ウイルス(Sw615-1st)についても同様の実験を行った。 Sw615-18th感染マウスには、肺胞領域に及ぶ重度かつ広範囲な病変形成および抗原分布が示され、肺組織でより高いウイルス量が検出された。一方、Sw615-1st感染マウスの肺において、SIV感染豚(剖検例)の肺と類似する軽度の壊死性気管支間質性肺を誘発し、そのウイルス抗原分布は病変部、すなわち気管支上皮細胞および一部の肺胞上皮細胞に限られていた。 近年、宮崎県内にはA/H1N1pdm09に分類されるSIVの浸潤が明らかとなった。上記剖検豚はそのようなSIVに単独感染したと考えられ、鼻腔および肺に上皮細胞の傷害を主とする病変を呈した。気道上皮細胞傷害は、物理的バリアの破綻や病原体クリアランス機能の低下をきたすことで他の病原体の侵入を容易にし、PRDC初期の肺病変形成において重要な役割をもつと考えられた。また、マウスにおいて形成された気管支肺炎が継代により増悪したことから、豚においてもヒト由来ウイルスが侵入し継続的に感染を繰り返した場合、ウイルスの増殖率が上昇し、肺病変が増悪する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
In situ hybridization(ISH)法が不安定になり、遺伝子の検出感度が低下している。その原因として増感法に問題があることが判明したので、方法を一部変更し、確認中である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的は当初の予定通りで変わりはないが、関連小項目を追加した。 1)鼻咽腔におけるPRRSウイルスをISH法で検出し、鼻咽腔病変を解析する。 2)関連小項目として、豚呼吸器コロナウイルスの鼻咽腔や肺における検出状況を明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究目的は当初の予定通りで変わりないが、感染実験の方法を一部変更した。次年度は高感度ISH法により、鼻咽腔内のウイルス検出を試みる予定である。
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