2020 Fiscal Year Annual Research Report
Pathological analysis of nasopharynx and lung caused by respiratory disease virus in pigs
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18K05974
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
平井 卓哉 宮崎大学, 農学部, 准教授 (60321668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
目堅 博久 宮崎大学, キャリアマネジメント推進機構, 助教 (90633264)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 豚 / PRRS / 豚インフルエンザ / 病理 / 病態解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的達成のために今年度計画している研究項目は、1)鼻咽腔関連リンパ組織(NALT)におけるPRRSウイルスの増殖様式、2)鼻咽腔におけるインフルエンザウイルスレセプターの分布、である。最終的にはこれらの結果を総合的に判断し、鼻咽腔におけるウイルス動態の理解を進展させる。 70日齢から130日齢の豚60頭の鼻腔スワブを調べ、18頭が遺伝子検査でPRRSウイルス陽性を示した。PCR陽性症例の内、13頭の鼻咽腔に炎症性変化が確認された。これらの鼻咽腔をISH法で調べた結果、1例のNALTに陽性シグナルが検出された。鼻咽腔においてPRRSウイルスの検出率が低い原因として、経鼻感染したウイルスは一過性に増殖し、感染後期においては検出できないことが考えられた。鼻腔スワブで検出されたウイルスは、肺において増殖した後に起こるウイルス血症に由来することが推測された。 NALTを覆う上皮層は特殊に分化しており、そこには外来抗原の取り込みを専門に行うMicrofold細胞(M細胞)が存在し、外来抗原は上皮直下に存在するマクロファージと樹状細胞に受け渡される。豚のM細胞のマーカーであるCK-18抗体を用いた免疫組織化学染色で、NALTを覆う上皮に陽性所見が得られ、豚にもM細胞が存在することが示唆された。 インフルエンザウイルスの糖鎖レセプターであるα(2-3)とα(2-6)シアル酸を認識する植物レクチン(MAMとSNAレクチン)を用いた染色で、豚のNALTを覆う上皮にはSNAレクチンに対し陽性を示す上皮細胞が多いことが示された。連続標本を作製して解析すると、同一細胞はCK-18抗体とSNAレクチンの両方に陽性を示すことから、M細胞はα(2-6)シアル酸を有することが示唆された。さらに、NALT内の一部のマクロファージはインフルエンザ抗原陽性を示し、M細胞を介して取り込まれた可能性が示唆された。
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