2018 Fiscal Year Research-status Report
Recombinant toxoid vaccine development against Shiga toxin type 2
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18K05976
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
新川 武 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (50305190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉城 志博 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教 (00720822)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腸管毒素原性大腸菌 / 易熱性腸管毒素(LT) / B鎖5量体(LTB) / ワクチン抗原 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究事業「豚の大腸菌感染症トキソイドワクチン開発とその発展的技術基盤構築」では、毒素原性大腸菌が産生する易熱性腸管毒素(LT)を中和可能な組換えタンパク質性ワクチンの開発を進めており、特にLTのB鎖5量体タンパク質を標的としている。しかし、LTBは、類似の毒素であるコレラ毒素(CT)のB鎖(CTB)と比べ、大腸菌での発現効率が低く、かつ、封入体からの巻き戻し(タンパク質リフォールディング)も困難であることが分かっている。
よって、本事業では再現性試験も含め、以下の3項目について検証を進めている。(1)LTBは大腸菌からの分泌発現効率が悪く、かつ、他の抗原との融合分子として発現させようとした場合、さらに効率が低下することを実証する。(2)LTBはCTBと比較し、封入体からの巻き戻しが困難であることを実証する(再現性試験の実施)。(3)上記(1)と(2)の現象は、LTBとその結束分子であるcartilage oligomeric matrix protein(COMP)との融合化によっても特段改善されることはないことを実証する。
上記3点はこれまでの本研究事業で実施してきた実験結果から概ね実証されたと考えており、その代替法(解決法)としてLTBと比べ、タンパク質レベルで約80%の相同性を有するCTBを利用することが考えられるが、LTBとCTBとでは、各々特異的なエピトープの存在が知られており、LTのワクチン標的抗原にはLTBを用いることが理想的であると考えている。よって、LTBの代替分子としてCTBを用いることは技術的に可能ではあるが、理想的にはLTBに分子改変を施すことにより、より効果的な抗LTワクチンを設計することが重要であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題開始当初に想定していたことは、これまでの実験結果から再現性試験結果含め、概ね予測していたとおりである。よって、現段階では想定外の結果が得られたということではないため、計画を変更するような状況ではない。したがって、総合的に判断し「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
LTBに分子改変を施すことで、巻き戻し効率を高める方法論の確立が必要であると考えており、今後の方向性として極めて重要である。そのためにはまず、LTBの巻き戻し方法自体を開発する必要がある。タンパク質の巻き戻しには一般的に透析法が用いられるが、細かく分類すると、透析方法にも種々あり、今後、LTBに最適な方法を見出す必要がある。さらに、LTBと融合させる抗原タンパク質もLTBを基に確立された巻き戻し法で同時に巻き戻される必要があるため、LTBと同時に融合タンパク質の巻き戻し条件も検証する必要がある。
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