2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study for interspecies transmission of animal viruses using metagenomics approach
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18K05977
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
長井 誠 麻布大学, 獣医学部, 教授 (10540669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大井 徹 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (10201964)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イノシシ / 豚 / 糞便ウイルス / 種間伝播 / ウイルス遺伝子多様性 / ウイルス遺伝子組換え / 新規ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、家畜と野生動物で種間伝播を起こしている腸管由来ウイルスをメタゲノム解析により探索し、ウイルスの進化を考察することである。最終年度はイノシシ23検体および豚33検体を採材した。前年度に引き続き糞便ウイルスの解析を行ったところ、数か国から報告のある豚エンテロウイルス(エンテロウイルスG)にトロウイルス遺伝子(PLCP)の挿入のある株を世界で初めてイノシシ(11頭)から検出した。豚エンテロウイルスは20の遺伝子型(G1~G20)があるがいずれの遺伝子型も病原性が弱く、健康な豚から検出されるウイルスである。しかし近年、PLCPを遺伝子内に組み込むことにより宿主内での増殖効率が高まり、下痢を引き起こすウイルスに変異することが証明された。今回PLCP株が検出された11頭のイノシシの臨床症状の詳細は不明であったが、遺伝子型調査ではG1-PLCP株、G17-PLCP株、および豚からこれまで検出例のないG8-PLCP株およびG12-PLCP株に分類されることがわかった。これらPLCP株の詳細な遺伝子解析から、PLCPは2C/PLCPおよびPLCP/3A接合部の遺伝子配列の相同性が高い部分における組み換えで挿入されることを明らかにした。2農場の豚における糞便ウイルスの解析においても、同一の農場から複数の遺伝子型(G1とG10およびG1、G8とG17)のPLCP株を検出した。同一農場から複数の遺伝子型のPLCP株が検出されるのは初めてであり、G10-PLCP株は世界初の検出となる。この豚におけるPLCP挿入もイノシシと同様のメカニズムによると考えられた。その他、イノシシからオルソレオウイルスを世界で初めて分離した。遺伝子型は3型であり、国内の動物園に飼養されていたライオンやヒトのオルソレオウイルスの遺伝子分節の再集合の結果生じた株であることが推察された。
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Research Products
(4 results)