2019 Fiscal Year Research-status Report
The role of IL-19 in the liver immunity
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18K05978
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
東 泰孝 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (50298816)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | IL-19 / 肝線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、脂肪肝から肝線維化へと進行するモデルを用いて、慢性肝疾患の病態発症におけるIL-19の役割解明を試みた。用いたモデルは、コリン欠乏メチオニン(0.1%)添加、高脂肪(60%)、コレステロール(2%)添加という市販の飼料を改良した研究代表者のオリジナル飼料である。従来の市販飼料はコリン欠乏メチオニン(0.1%)添加高脂肪(60%)であるが、肝線維化の形成までに長期間が必要であった。この弱点を克服するため、従来飼料にコレステロールを添加することで、肝線維化形成までの期間短縮を目指した。この飼料を用いて、IL-19遺伝子欠損(IL-19KO)マウスと野生型(WT)マウスを一定期間飼育した。また、対照として、IL-19KOマウスとWTマウス、ともに普通食による飼育群を用いた。 WTマウスは普通食と比べて、中等大の比較的揃った脂肪滴がびまん性に分布した。CD68染色により炎症細胞浸潤は散見されたものの軽微であった。またアザン染色により、線維化はほとんど認められなかった。これに対しIL-19KOマウスでは、WTマウスに比べてALTが高い値を示した。脂肪変性はWTよりも弱く、炎症細胞浸潤はWTよりも目立っていた。また、炎症性サイトカインであるIL-6およびTNF-alphaはWTマウスよりもIL-19KOマウスで有意に増加していた。さらに、IL-19KOマウスでは明確な線維化が認められ、線維化範囲を定量解析したところWTマウスに比べてIL-19KOマウスにおいて有意な増加を示した。 したがって、IL-19KOマウスでは肝線維化まで進行したことから、IL-19は線維化を抑制する作用を持つ可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、in vivo肝線維化病態モデルを用いて、IL-19遺伝子欠損マウスでは肝線維化が悪化するという表現系を発見することができた。ヒト肝疾患においてIL-19関与の可能性に関する報告はこれまでには無く、今回得られた成果は極めて新規性の高い知見である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度用いた肝線維化モデルとは異なる発症機序による肝線維化モデルを用いて、IL-19の肝線維化における役割をさらに詳細に解明する。合わせて、今年度得られた成果に関しても、作用機序の解明に取り組み、肝臓内のどの細胞間でIL-19を使った情報ネットワークがあるのかを明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、in vivo肝線維化モデルを作製するため、特殊飼料を用いた一定期間の飼育が必要であったことが最も大きい理由である。もちろん、この肝線維化モデルの作製期間を利用して、別の実験を進行させることは可能であったが、前年度の成果も踏まえて、まずは、IL-19遺伝子欠損マウスによる表現系の発見を第一目標に注力することとした。 今回、IL-19遺伝子欠損マウスでは肝線維化が悪化することを発見することができたため、次年度は、研究活動を加速させる。
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