2021 Fiscal Year Research-status Report
Intestinal innate immune response to enterically transmitted hepatitis virus
Project/Area Number |
18K05987
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
結城 明香 国立感染症研究所, 安全実験管理部, 主任研究官 (50450557)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山根 大典 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主席研究員 (60782761)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | A型肝炎ウイルス / マウスモデル / 経口感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
A型肝炎は患者の糞便中に排泄されたウイルスにより汚染された食物や水を接種することで罹患する。ウイルスは腸管から侵入し血流に乗って標的臓器である肝臓に到達すると考えられているが、腸管からのウイルス侵入様式や侵入を制御する宿主免疫応答は未解明である。これまでに申請者はA型肝炎ウイルス(HAV)を尾静脈内投与して感染させるマウスモデルを報告しているが(Science 353:1541, 2016)、このモデルでは腸管からのウイルス侵入を解析できない。本研究はウイルスに経口感染するマウスモデルの確立を試み、それを用いて腸管からのウイルス侵入様式や、腸管の自然免疫応答についての網羅的解明することを目的としている。令和2年度までに本研究において、XY遺伝子二重欠損マウスに野生型HAVを胃内に投与し感染させることに成功した。感染したマウスはA型肝炎患者と同様に、潜伏期の後に糞便ウイルス排出、ウイルス血症、肝でのウイルス増殖、血清肝酵素の上昇、抗ウイルス抗体産生を認め、人での感染路と病態を再現するマウスモデルを確立した。腸管でのウイルス複製の有無を調べるために、感染マウスの小腸、大腸、肝におけるウイルスRNA量を経時的に測定した結果、ウイルスが肝に到達して増殖する前に腸管での初期増殖が検出されなかったことから、HAVが腸管から侵入する際に腸管上皮で複製するのではなく、何らかの方法(例えばトランスサイトーシス)で通過する可能性が示唆された。このマウスモデルを用いて腸管からのウイルス侵入様式とそれを制御する自然免疫応答についての解析を進めている。また、糞便中にウイルスを排出している感染マウスと同居させることで、未処置マウスへの感染伝播が認められた。これはマウスの食糞行動によるものと考えられ、家族や異性間での水平感染を再現するモデルとなり得る。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
腸管での自然免疫応答を明らかにするために、腸管組織中のIFN関連遺伝子の発現量や蛋白質レベルでの発現や活性化の解析、腸管組織のトランスクリプトーム解析を行うとしていたが、腸管でのウイルスの初期増殖が検出されなかったために、進展できていない。また、A型肝炎と同じく経口感染するウイルス性肝炎であるE型肝炎のマウスモデルを確立し腸管での免疫応答をA型肝炎ウイルスと比較するとしていたが、A型肝炎を先行して進めているため、E型肝炎マウスモデルの確立に至っていない。したがって「遅れている」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
初期増殖が検出されなかったことから、今後は「通過」に着目してウイルス侵入を制御する免疫応答を明らかにする。HAVの侵入機構としてM細胞のトランスサイトーシスが考えられることから、抗receptor activator ofnuclear factor kappa-B ligand(RANKL)抗体投与あるいはRANKL遺伝子欠損によってマウスのM細胞を欠損させ、HAVの 口感染や腸管での複製が阻止されるか調べる。
|
Causes of Carryover |
年度末納品等にかかる支払いが、令和4年4月1日以降となったため。当該支出分については次年度の実支出額に計上予定である。
|
Research Products
(1 results)