2018 Fiscal Year Research-status Report
オリゴデンドロサイト前駆細胞を用いたTmem86aの機能解析
Project/Area Number |
18K06000
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小森 雅之 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (40183347)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プラスマローゲン / Tmem86a / リゾプラスマロゲナーゼ / オリゴデンドロサイト前駆細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は当初、使用予定していたOPC単離キットが入手できなかったため、計画を変更し、まず市販のヒト組織由来cDNA(8種類)を用いたRT-PCR法によりTmem86aの発現を調べた。その結果、ヒトTmem86aは調べた組織の中で胎盤が最も高く、次いで脳、腎臓、肺で高く、骨格筋では低かった。この発現パターンはリゾプラスマロゲナーゼと同定されたヒトTmem86bの結果と類似していたが、プラスマローゲンの生合成系の酵素であるアルキルジヒドロキシアセトンリン酸シンターゼやジヒドロキシアセトンリン酸アシルトランスフェラーゼとは異なっていた。次に、FLAGタグ付加ヒトTmem86aをメタノール資化酵母H. polymorphaおよび昆虫細胞を用いて過剰発現を試みたが、現在までのところ、特異的発現には成功していない。一方、タグ付加ヒトTmem86bはいずれの宿主を用いても強い発現が認められた。そこで、ヒトTmem86bの組換え発現酵母株由来のミクロソーム画分を用いてリゾプラスマロゲナーゼ活性検出のための条件検討を行った。Tmem86bのリゾプラスマロゲナーゼ活性については、最近、他の研究グループにより再現性が得られないとの報告もあるため、本当に活性を有するか否かを含め再現性を明らかにすることは学術的にも重要である。さらに、市販の抗ペプチド抗体によるTmem86aの検出が困難であったため、自作でヒトTmem86aに対する特異抗体の作製を目的として、大腸菌を用いて組換え体(Tmem86a全長とマルトース結合タンパク質との融合タンパク質)の発現を試みたが、その発現効率は低かった。そこで、様々なN末端欠失体との融合タンパク質の発現株を作製したところ、160残基目からC末端までを含む融合タンパク質が最も発現量が多かった。現在、組換え大腸菌から精製を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オリゴデンドロサイト前駆細胞を用いる実験以外はおおむね計画通りに進んでいる。自作のラットcDNAを用いたRT-PCRによる予備実験では、Tmem86bがラット肝で多く発現しているのに対して、Tmem86aは肝より脳で多く発現しており、今回得られたヒト組織由来cDNAを用いた結果と一致しなかった。ヒト組織の場合は個体差が大きいため、その影響かもしれない。また、ヒトTmem86aの機能的異種発現系の確立を目指して、FLAGタグ付加ヒトTmem86aをメタノール資化酵母H. polymorphaおよび昆虫細胞を用いて過剰発現を試みたが、現在までのところ成功していない。大腸菌による組換え体の発現でも効率が悪かったことから、膜タンパク質でもあるTmem86a(特に、タンパク質全長)の過剰発現はかなり困難が予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
OPC単離キットを取り扱っていた代理店が販売を終了してしまったため一部計画を変更したが、このキットを生産販売している海外メーカーより直接購入が可能か、代替製品が他にないか等について今後も検討したい。また、自作のラットcDNAを用いたRT-PCRによる予備実験では、Tmem86bがラット肝で多く発現しているのに対して、Tmem86aは肝より脳で多く発現しており、今回得られたヒト組織由来cDNAを用いた結果と一致しなかった。ヒト組織の場合は個体差も大きいと考えられるため、今後さらに、市販のラットの各種組織由来cDNAを用いてTmem86aの発現を詳しく検討する予定である。FLAGタグ付加ヒトTmem86aの機能的な異種発現系の確立は困難なため、今後は異種発現に成功しているFLAGタグ付加ヒトTmem86bを利用して、Tmem86aとのキメラタンパク質の発現を試みる予定である。また、ヒトTmem86bについては引き続き、リゾプラスマロゲナーゼ活性の有無を含め、再現性について詳細に検討する予定である。さらに、Tmem86aに対する特異抗体の作製も引き続き行う予定である。
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Causes of Carryover |
物品費、人件費などの未使用分については翌年度に繰り越し、次年度以降で使用する予定である。
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Research Products
(4 results)