2019 Fiscal Year Research-status Report
イヌ癌幹細胞における放射線耐性能力に関わるCD44バリアント分子の役割の解明
Project/Area Number |
18K06006
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
佐原 弘益 麻布大学, 獣医学部, 教授 (10260762)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | CD44バリアントアイソフォーム / 酸化ストレス耐性 / 腫瘍幹細胞 / イヌ乳癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト癌幹細胞においてCD44分子のバリアントアイソフォーム(CD44v)が、シスチントランスポーター(xCT)の機能を亢進することが明らかとなった。すなわちCD44vは内在性の抗酸化物質GSH生合成の要であるシスチンの取り込みを亢進し、細胞内の酸化ストレス耐性能力の亢進させ、抗がん剤や放射線耐性能力を高めていることが明らかとなった。我々もイヌ、乳癌細胞株においてもCD44vが発現していることを見出し、酸化ストレス耐性能力を亢進させることを見出した。 本研究における令和元年度の課題は:「抗イヌCD44v8-10モノクローナル抗体の開発。」であった。イヌCD44v8-10を特異的にモノクローナル抗体の作成のためには、その抗原となるイヌCD44v8-10の抗原性を高めなければならない。そこで、まずはイヌCD44v8-10の塩基配列とヒトIgG-Fc部分とを融合させたキメラ抗原cDNAを作成して、発現ベクターに組み込んだ。キメラ分子を抗原として用いる理由は、まずは異種のIgG-Fc部分は高い免疫原性があること、さらにはFc部分があることによって、分泌タンパク質として効率が高いことである。そしてそのプラスミドをヒト胎児腎細胞株293T細胞に導入し、培養上精中に分泌されるキメラ抗原タンパク質を精製した。麻布大学の動物実験委員会の承認(承認番号、170404-7)を経て、ヌードマウスにキメラ抗原を免疫して、血清抗体価が十分に得られたことを確認し、十分な麻酔下でのと殺後、脾臓を提出し、マウスミエローマ細胞、SP2/0細胞と定法によって融合した。その後HAT培地で選択培養をし、融合したオリゴクローンから分泌される抗体をウエスタンブロティング(W.B.)によって解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
抗原免疫―融合によるハウイブリドーマの作成までは、数百クローンのレベルまで細胞株を得ているが、未だにCD44v8-10を特異的に認識する抗体産生クローンを得ることができていない。血清による抗体の検出に関しては、出来ているのでもう少し数をこなせば取れる可能性があると思い、来年度も引き続き行う。一方で、ポリクローナル抗体を作成し、腫瘍組織を用いた免疫組織化学的観察も検討していく。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで、数多くの細胞融合実験を行ってきたが、未だに抗原特異的なハイブリドーマを得ていない。免疫方法なども皮下投与から抗原タンパク質を直接静脈内投与することによって、より効果的な免疫原性を得ることに成功するなど推進方法の改良には努めている。免疫マウスからの抗原特異的抗体は検出できていることから、抗原認識するB細胞は存在するので、さらなる細胞融合実験を重ねていきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍における実験の一時停止のための余剰金。実験が継続しているので、今年度も使用する。
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