2019 Fiscal Year Research-status Report
TGF-βファミリーならびに副腎皮質ホルモンはいかにボルナウイルスを制御するのか
Project/Area Number |
18K06009
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
西野 佳以 京都産業大学, 生命科学部, 准教授 (00271544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舟場 正幸 京都大学, 農学研究科, 准教授 (40238655)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ウイルス / ボルナウイルス / ストレス / 副腎皮質ホルモン / コルチコステロン / 環境要因 / 病態 / メカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
神経系に持続感染するウイルスであるボルナウイルスの発病メカニズムを探るために、環境要因が発病リスクになる可能性について検討した。環境要因として、ストレス時に分泌量が増加する副腎皮質ホルモン(コルチコステロン:CORT)がボルナ病ウイルスの感染病態に与える影響を探るために、ウイルス感染後期のマウスにCORTを埋め込み、3週間かけて放出される影響を解析した。その結果、CORTが放出されていると予測される期間は脳の炎症の程度は軽減し行動学的異常も抑制されるが、効果が消失された時期では急激な脳炎の悪化と行動学的異常の亢進が認められた。以上の結果から、感染後期に重度のストレスが負荷されると、ストレスが消失したのちに病態が悪化することが示唆された。また、治療のために副腎皮質ホルモンを使用する場合に、ホルモンの効果がある期間はボルナ病の発病は抑制されるが、効果が消失するとむしろ病気を悪化させる危険性も示唆しており、CORTの免疫抑制効果が脳炎を一時的に軽減させることがその原因と予測された。 ボルナ病ウイルス感染神経細胞とグリア細胞における発現遺伝子の変化を調べるために、初代培養神経細胞と初代培養グリア細胞にボルナ病ウイルスを感染し、その総RNAからマイクロアレイ法により網羅的に遺伝子発現を解析した。その結果、神経細胞についてはウイルス感染により発現量に有意な差が認められた遺伝子は検出されなかったが、グリア細胞では有意な発現の差が認められる遺伝子が検出された。今後、遺伝子変動が認められた遺伝子産物について、リアルタイムPCR法による解析を行い、定量的に発現量を確認する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ボルナウイルス感染動物におけるCORTの影響を調べるための実験は順調に行うことができ、現在解析中である。一方、初代培養神経細胞・グリア細胞を用いた感染実験は、その細胞作りに技術的に難しい点があり、解析する材料づくりに時間を要していたが、来年度解析できる段階になった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、研究の総括として、以下の方向性で進める。 1.ボルナ病ウイルスの発病要因にストレスが関与することは、感染後早期と後期のマウスにおけるCORT投与実験により示唆されたので、最終年度では、CORT投与により病態が悪化した動物の長期的な経過について解析する。また、感染前の時期におけるストレス負荷の影響について解析する。 2.CORTの影響について探るために、上記1の感染実験で得られたマウスの脳を用いて、脳内遺伝子の発現を網羅的に解析し、関連遺伝子について検索する。また、TGF-β関連遺伝子についても、リアルタイムPCR法で定量的に発現量を解析する。 3.初代培養グリア細胞における感染により影響を受ける遺伝子の解析を進める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:マイクロアレイ解析をするための材料であるマウスの組織からのRNA抽出条件の検討に計画よりも時間がかかり、今年度の予算執行に間に合わなかったためである。 次年度使用計画:今年度解析することができなかったマウスの組織由来RNAにおける網羅的な遺伝子発現解析(RNA抽出ならびにマイクロアレイ解析)に本経費を使用する予定である。
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