2021 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of TGF-beta family and adrenal cortical hormone on borna disease virus infection.
Project/Area Number |
18K06009
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
西野 佳以 京都産業大学, 生命科学部, 准教授 (00271544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舟場 正幸 京都大学, 農学研究科, 准教授 (40238655)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ウイルス / ボルナ病ウイルス / 副腎皮質ホルモン / ストレス / コルチコステロン / 神経疾患 / 環境要因 / 病態 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経系に持続感染するボルナウイルス(BoDV)の発症メカニズムに環境要因からうけるストレスが関係している可能性について明らかにすることを目的とした。そのため、ストレス負荷時に分泌量が増加する副腎皮質ホルモンであり、グルココルチコイドの一種であるコルチコステロン(CORT)がBoDV感染病態に及ぼす長期的な影響について検討した。 5週齢のオスのC57BL/6NマウスにBoDV-CRNP5株を脳内接種し、感染24日目に3週間かけてCORT(5㎎)を放出する錠剤をマウスの皮下背部に埋め込んだ。4日ごとに体重測定と臨床症状の観察を行い、感染68日目に行動学的試験、脳内ウイルス量の測定および脳の組織学的解析を行った。その結果、CORT処置した感染マウスはCORT放出期間である3週間を過ぎてから感染68日目にかけて著しい体重減少が認められた。感染群間ではCORT処置による胸腺重量の減少傾向が認められた。行動学的試験においては、感染により異常が認められた項目は12項目中7項目あったが、そのうちCORT処置により異常が増大したものは1項目、異常が軽減した項目は2項目だった。脳内ウイルス力価は、CORT処置により有意に増加した。CORT処置により小脳で炎症が重度化し、小脳に存在するプルキンエ細胞にウイルス抗原が検出されたマウスは、CORT未処置の感染マウスの2倍存在した。また、本試験で用いたCORT錠剤を皮下に埋め込むことにより作成したストレス負荷マウスでは、処置8~24日目まで免疫抑制状態になっていることが示された。 以上の結果から、BoDV感染後期のマウスへのCORT処置は、長期的には体重減少を伴う全身状態の悪化を引き起こした。その原因として、脳内のウイルス量の増加、ならびに小脳の機能障害による運動調節、および嚥下・呼吸などの調節異常の関与が示唆された。
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