2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of a novel mechanism for regulation of signal transduction through Insulin receptor alternative splicing
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18K06012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片岡 直行 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (60346062)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インスリン受容体 / 選択的スプライシング / アミノ酸 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
インスリン受容体(IR)は、エクソン11の排除/包含の選択的スプライシングにより、IR-AとIR-Bがそれぞれ産生される。この選択的スプライシングパターンは、ヒト、ラット、マウス間で保存されている。また、IR-A/IR-B比は組織によって異なっており、IRの選択的スプライシングは種を超えて保存され、発生段階や組織特異的な制御を受けていると考えられる。 我々は、ラットIR遺伝子のうち、選択的スプライシングを受けるエクソン11とその両端のイントロン領域(上流および下流それぞれ500塩基長程度)を用いたレポーターを作製した。ラット肝がん由来H4IIE細胞ではIR-Bがほとんどであるが、作製したスプライシングレポーターをH4IIE細胞に導入したところ、内在性IR遺伝子と同じくIR-B型のスプライシングを示すことを確認した。そしてスプライシングレポーターへの様々な欠失の導入から、イントロン11内に、スプライシング制御因子Rbfox2の結合部位を見出し、エクソン11の包含を促進することを明らかにした。さらに、H4IIE細胞では、Rbfox2とSRタンパク質の一つであるSRSF3によってエクソン11の包含が起こっていることを明らかにした。これらの結果を論文としてまとめ、海外の英文誌に投稿して現在revise中である。加えて、ラットIR遺伝子のエクソン10から12までの全長領域を持たせたスプライシングレポーターを作製でき、内在性IRと同様のスプライシングパターンを示すことを確認した。さらに、H4IIE細胞を様々な細胞培養条件で培養し、細胞外のアミノ酸飢餓が、内在性のインスリン受容体の選択的スプライシングをIR-BからIR-Aに変化させることを見出し、その変化がアミノ酸添加によって打ち消されることを見出し、アミノ酸が栄養素としてだけではなく、代謝制御シグナルとして働くことを見出した。
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