2019 Fiscal Year Research-status Report
Cellular energy-sensing mechanism modulates insulin-like growth factor signaling to facilitate catch-up growth.
Project/Area Number |
18K06014
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
亀井 宏泰 金沢大学, 生命理工学系, 助教 (00610362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 昭博 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (40391859)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 低酸素 / 追いつき成長 / サーチュイン |
Outline of Annual Research Achievements |
動物の成長は異化的代謝が誘導される環境で遅滞するが、これらの要因が取り除かれると、短期間で遅滞を経験していない個体の成長度まで追いつく。この現象は「追いつき成長」と呼ばれ、様々な動物で観察されている。我々の研究室ではゼブラフィッシュ胚をモデルに、低酸素で成長を遅滞させ酸素の再供給で追いつき成長を誘導する実験系を確立し、この現象の分子機構を探っている。昨年度までの研究により、NAD依存的脱アセチル化酵素であるSirt1が、追いつき成長特異的に胚の成長の加速に寄与していることが分かった。そこで、本年度の研究では、1) 追いつき成長特異的にSirt1と相互作用する分子の探索や 2) 細胞種特異的なSirt1の発現解析を試みた。 まず相互作用する分子を探索する為に、標識が付与されたゼブラフィッシュSirt1分子(FLAG-zfSirt1)をbaitに、様々な実験条件におけるゼブラフィッシュ胚(常時常酸素環境下における通常成長、低酸素による成長遅滞、そして酸素の再供給による追いつき成長をそれぞれ示す胚)から細胞破砕液を調整し、FLAG抗体を用いたプルダウン実験を行なった。プルダウン後に試料中に含まれているタンパク質を銀染色及び特異抗体で解析したところ、追いつき成長特異的にSirt1から乖離するタンパク質を3種類、2) 追いつき成長特異的にSirt1と結合するタンパク質が少なくとも1種類、存在することが分かった。また、Sirt1の遺伝子の発現解析では、個体全体では通常成長、成長遅滞、そして追いつき成長において顕著な発現量の変化は見出されなかったが、一部の多能性幹細胞において追いつき成長で発現が上昇する傾向が見られた。 以上のことから、Sirt1は特定の分子との結合や特定の細胞での発現量をそれぞれ変化させることで、追いつき成長特異的に成長を促進する分子となることが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標の一つでもあった、「Sirt1の機能が追いつき成長特異的に変化する仕組み」の解明につながる結果を得ることができた。Sirt1の分子修飾の解析も進んでいるが、一方でSirt1の分子修飾が結合分子との相互作用や胚成長を司るインスリン様シグナリング、そしてSirt1の細胞内局在に与える影響に関しては現在解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、追いつき成長特異的な結合分子の同定を進め、それらの分子の機能とSirt1の細胞内局在の変化やインスリン様成長因子の細胞内シグナリングとの連関を明らかにする。これにより、Sirt1がどのように追いつき成長特異的に体成長に寄与するようになるかを調べる。また、樹立しつつあるSirt1のノックアウト動物を用いて、個体レベルでの証明も試みる。
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