2019 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanisms and physiological function of amino acid endocytosis
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18K06018
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
渋谷 周作 山口大学, 共同獣医学部, 准教授 (20534473)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | mTORC1 / アミノ酸 / エンドサイトーシス / 栄養シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
mTORC1はアミノ酸存在下で活性化され、細胞内の生合成を活性化させる主要な代謝シグナル複合体である。我々は以前の研究において、エンドサイトーシス阻害剤(ダイナソア)がmTORC1活性を抑制することを発見した。また、エンドサイトーシス阻害剤がS期細胞を増加させたことから、DNA複製の阻害が起こっている可能性が示唆された。 今年度は、エンドサイトーシス阻害剤ががん細胞に及ぼす影響を詳しく調べた。まず、様々なヒトの腫瘍由来細胞株を用いて、阻害剤が細胞増殖におよぼす影響をWSTアッセイにより調べたところ、すべての細胞株において阻害剤による増殖抑制作用が確認された。上皮系腫瘍由来細胞株に比べて、造血系腫瘍由来細胞株において増殖抑制作用が顕著であった。また、mTORC1活性の抑制も確認された。細胞周期プロファイルを確認したところ、これらの腫瘍由来細胞株においては、エンドサイトーシス阻害剤はS期の増加だけではなく、アポトーシスを示唆するSub-G1期の細胞を増加させた。これがアポトーシスであることはTUNELやCleaved Caspase-3陽性細胞の増加によっても確認された。非腫瘍由来細胞株においてはアポトーシスは確認されなかったことから、エンドサイトーシス阻害剤のアポトーシス誘導作用は腫瘍特異的である可能性がある。続いて、阻害剤によってDNAダメージ応答経路が活性化されていることが明らかとなった。上述のようにエンドサイトーシス阻害剤により、DNA複製阻害が起こっていることが推測されており、DNA複製阻害時の複製フォーク停止がDNAダメージ経路を活性化させていることが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、エンドサイトーシス阻害剤が各種細胞機能に与える影響を確認することができた。前年度までの実験では、エンドサイトーシス阻害剤が細胞周期をS期で停滞させることが示されたが、腫瘍細胞においてはこのS期での停滞の結果、DNAダメージ応答経路を介してアポトーシスが活性化されるという仮説が考えられた。 一方、エンドサイトーシス阻害剤を用いた実験だけでなく、ダイナミン1/2/3トリプルノックアウト細胞も入手し、タモキシフェンによるノックアウト誘導実験の条件検討を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
エンドサイトーシス阻害剤が腫瘍細胞特異的にアポトーシスを誘導するメカニズムの探索を行う。現時点の仮説としては、エンドサイトーシス阻害剤によりDNA複製が阻害され(ヌクレオチドの枯渇?)、その結果DNAダメージ応答経路が活性化され、その下流に位置するアポトーシス誘導が引き起こされるということである。今後、この仮説を実験的に検証するため、DNAダメージ応答に関わる主要タンパク質(ATM, ATR, Chk1/2など)をノックダウンや薬剤などで抑制したときの影響を調べる。 また、エンドサイトーシス阻害剤の腫瘍増殖抑制作用だけでなく、正常時やアミノ酸飢餓時におけるダイナミンの機能を調べるため、ダイナミントリプルノックダウン細胞を用いて、mTORC1活性や、各種蛍光標識物質取り込みへのダイナミンの関与を検証する。
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Research Products
(4 results)