2019 Fiscal Year Research-status Report
オプトジェネティクス酸化ストレス誘導法による筋萎縮メカニズムの解明と治療薬探索
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18K06029
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 文規 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 特定助教 (10588263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬原 淳子 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 連携教授 (60209038)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 骨格筋 / 筋萎縮 / 酸化ストレス / ミトコンドリア / オプトジェネティスク |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋は動力源であるATPの消費量が多く、ATPの安定的な供給は骨格筋の機能的発達・維持にとって必須である。このATP産生における主要な細胞小器官がミトコンドリアであり、その機能不全によって筋萎縮が引き起こされることが知られている。ミトコンドリア機能不全はROS(活性酸素種)の産生過多を誘導し、酸化ストレスが発生することによって筋萎縮が引き起こされると考えられている。そこで可視光による骨格筋ミトコンドリア特異的な長期酸化ストレス誘導法を確立し、酸化ストレスにより筋萎縮が誘導される詳細な過程の解明を第一の目標として研究を進めている。 骨格筋特異的ミトコンドリアROS産生トランスジェニックゼブラフィッシュの個体(成魚)への光誘導による長期ROS産生誘導用の高強度LEDライトおよび照射用アクリル水槽および条件の検討は順調に進行したが、本実験の主な使用系統であり、既に作製済みであった光誘導型の骨格筋特異的ミトコンドリアROS産生トランスジェニックゼブラフィッシュに関して、ROS産生タンパク質の発現量が成長に伴い著しく低下する個体が多数確認されたため、高いROS産生タンパク質発現を維持する個体の継代を実施した。 しかし、やはりROS産生タンパク質の発現量が高い個体は成長速度が野生型と比較して遅く、安定的に次世代を得ることのできるROS産生タンパク質高発現トランスジェニック系統を得ることができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の中心的な材料となる骨格筋特異的ミトコンドリアROS産生トランスジェニックゼブラフィッシュの作製が予定よりも大幅に遅れている。これまで多数のトランスジェニックゼブラフィッシュを作製してきたがこれほど安定的な高発現個体を得るのに難航した経験はなく、飼育に用いる蛍光灯の光等によってROSの産生が誘導されている可能性等が考えられる。これから導入遺伝子等を再検討することは現実的ではなく、光誘導型ROS産生タンパク質を用いた場合には避けることのできない問題である可能性もあるため、現在得られているトランスジェニック系統を用いて研究を進めることが最善策であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在得られている光誘導型の骨格筋特異的ミトコンドリアROS産生トランスジェニックゼブラフィッシュを用いて、長期酸化ストレス誘導実験を実施し、骨格筋特異的なROS産生の確認および骨格筋トランスクリプトーム解析を実施する。骨格筋組織トランスクリプトーム解析だけではなく、シングルセルトランスクリプトーム解析も実施する。これらの結果を今までに得られている様々な骨格筋萎縮条件下での骨格筋組織トランスクリプトーム解析およびシングルセルトランスクリプトーム解析の結果と比較・検討し、酸化ストレスに起因する骨格筋萎縮の予防・治療を目的とした標的遺伝子の選定を行う。
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