2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study of X chromosome inactivation in the monkey embryos
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18K06030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡本 郁弘 京都大学, 高等研究院, 特定講師 (40648424)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | X染色体不活性化 / XIST RNA / カニクイザル |
Outline of Annual Research Achievements |
X染色体の不活性化(X Chromosome Inactivation : XCI)は哺乳類の雌(XX)の発生初期に2本のX染色体のうちの1本上の遺伝子発現を協調的に抑制する現象である。XCIはthe X chromosome Inactive Specific Transcript( XIST )遺伝子より発現するnon-coding RNA(XIST RNA)により制御される。マウスと異なりヒトを含む霊長類のXIST RNAの機能は未だに不明な点が多い。霊長類のXCIに関与するXIST RNA内エレメントを明らかにするために、ヒト型霊長類のモデル生物であるカニクイザル雌胚より線維芽細胞株を樹立し、繰り返し配列 (A, B+C,D,E)、繰り返し配列を含まないexon及びプロモーターへCRISPR/Cas9によるゲノム編集により系統的に変異導入を行い、両アリルに変異を持つホモ変異株を得る事が出来た。プロモーター欠損ホモ変異株におけるXCIへの影響をRNA FISH でXIST RNA, X-linked genesの発現を解析した結果、プロモーター欠損株でXIST RNAの消失を確認したが、両アリルからのX-linked genesの発現は認められなかった。この結果はXCIが完了した体細胞ではXCIの維持にXIST RNAは必要でないという先行研究と一致した。さらに、得られた各ホモ変異株を利用して、RNA FISH に加えてRNA-seqを行うことによって、霊長類のXCI維持におけるXIST RNAの機能が明らかになることが期待される。また、カニクイザル受精卵に同様の変異導入を行うことによって、霊長類の初期発生過程におけるXCI開始機構が明らかになることが期待される。
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