2020 Fiscal Year Research-status Report
Bovine leukemia virus infection as a model of HTLV-1 -Dok genes function-
Project/Area Number |
18K06036
|
Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
大杉 剛生 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (00211102)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ウシ / 牛白血病 / DOK1遺伝子 / DOK2遺伝子 / DOk3遺伝子 / HTLV-1 / BLV |
Outline of Annual Research Achievements |
ウシの血液細胞におけるDOK遺伝子の発現をみるため、昨年度より例数を増やして検索した。健康牛の末梢血よりリンパ球をフィコールパックによって分離後、CD3およびCD21に対する抗体を使用したMACS法を用いてT細胞およびB細胞分画に分けた。用いた健康牛は、牛白血病ウイルス(BLV)に感染していないことを、tax遺伝子領域を検出するプライマーを用いたPCRによって確認した。各分画からRNAを抽出し、逆転写後、real-time PCR法によってDOK1、2および3遺伝子の発現量を比較した。CD21陽性分画ではDOK1および3が、CD3陽性分画では、DOK2の発現がみられ、マウスのDOK遺伝子の発現と同様であることが昨年度の検索と同様再確認された。牛白血病由来細胞株であるKU-1では正常なウシB細胞と比較し、極端なDOK2の低下とDOK3の高発現が観察された。このDOK3の高い発現が白血病に由来するのか、屠場由来の白血病腫瘍細胞について検討したところ、DOK3の高発現が観察された。一方、同様に正常B細胞に発現しているDOK1に関してはKU-1および白血病腫瘍細胞では逆に低下傾向がみられたが、発現に有意差は見られなかった。このことから、DOK3遺伝子の高発現が牛白血病の特徴かもしれず、病態のグレードを知る指標遺伝子となる可能性が示唆された。タンパクレベルの検索においてウエスタンブロット法では、各DOKタンパクの検出はできなかった。βアクチンについては検出されるため、抗体に問題があると考えられる。現在まで、市販の抗体を数社試したが、良好な成績は得られていない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ウシにおけるDOK1、DOK2およびDOK3の血液免疫細胞での各遺伝子発現レベルが、従来報告されてきたマウスとほぼ同じであることを昨年度の検索にさらに例数を増やして確認した。また、DOK3の発現が白血病腫瘍株、屠場由来白血病腫瘍において異常に高く発現することが確認され、白血病の病態のグレードを示す指標となる可能性がある。タンパクレベルの解析では、昨年と同様、解析可能なDOK抗体を得ることができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
市販されているウシDOKタンパクに対する抗体、さらに交差動物種にウシが確認されたものについても使用し、ウエスタンブロットによるDOKタンパクの発現レベルを比較する。βアクチンについては明確にバンドが検出できているので、タンパクの抽出には問題はないと考えられる。そのため、少量の抗体でも反応を検出できる増感作用のある検出試薬等を用いて検出を試みたい。また、DOK3が白血病細胞では異常に発現していることが明らかとなったので、さらに症例を増やし、白血病発症前のリンパ球増多症段階のウシについても検討する。
|
Causes of Carryover |
本年度はコロナ禍の影響もあり、抗体および関連試薬の入手が困難な面があった。入手可能であった数社の抗体ではDOKタンパク検出が弱く実験系の確立ができなかった。2021年度は、早い段階から市販抗体を入手し、弱い反応を増強する試薬を用いた実験系を確立する予定である。
|
Research Products
(2 results)