2021 Fiscal Year Research-status Report
in vivoゲノム編集効率の最適化と疾患モデル動物遺伝子治療への応用
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18K06040
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
三浦 浩美 東海大学, 医学部, 特任助教 (90599523)
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Project Period (FY) |
2020-03-01 – 2023-03-31
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Keywords | 遺伝子治療 / ゲノム編集 / ヒト型疾患モデルマウス / フェニルケトン尿症 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、「疾患モデル動物の遺伝子治療」を目指し、必要となる各種システムやリソースの確立を行なった。具体的には、以下2点の実験を行なった。一つ目は、ゲノム編集試薬デリバリー法の確立である。エレクトロポレーション法やハイドロダイナミクス法などの物理的方法によるゲノム編集試薬送達の更なる最適化も進め、これまでに確立したゲノム編集評価系モデルマウスも活用し、それらを実際に疾患モデルに応用するための条件を検討した。一方で、これらの方法では導入箇所が局所的であることや送達効率の問題から効果が十分でない可能性も懸念された。そこで、これらの方法に加えて、よりデリバリー効率の良いアデノ随伴ウイルス(AAV)を用いた送達システムも立ち上げることとした。まずは予備実験として、GFPを含有するAAVをAAVpro293T細胞により作製した。細胞から回収したAAV粒子を用いて、293細胞にAAV溶液を添加した結果、力価依存的にGFP陽性細胞を確認することができた。二つ目は、昨年度から作製を進めている肝疾患モデルマウス(ヒト型変異を有するフェニルケトン尿症のモデルマウスとして2系統)について、その系統化と表現型の解析を行った。系統化したマウスにおいて、採取した血漿を用いてL-フェニルアラニン値の測定や他の生化学的解析を行なった結果、作製したモデルマウスにおいてL-フェニルアラニン値の大幅な低下を確認することができた。また、それらマウスにおける毛色の変化も確認することができており、遺伝子治療法開発実験に有用なヒト型疾患モデル動物として活用できるものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
着実に進めることはできているものの、昨年度の論文リバイス時に予定外の多くの追加実験を要したこと、およびライフイベントに伴う休暇を取得したこと、などの理由から、少々計画に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確立してきた各種デリバリー法を利用し、本研究で開発したヒト型フェニルケトン尿症モデルマウスの遺伝子治療実験を進める。これまでに確立してきたデリバリー法の中のどれを用いるかに関しては、その効率や簡便さ等を考慮しながら、且つ実際の治療効果等を検討しながら適切なものを選んで進めることとする。また変異遺伝子の修復法については、昨今のゲノム編集による遺伝子治療研究の潮流を鑑み、ドナーDNAを用いない複数の修復法を試み、その効率等の比較解析も行う。さらにその際に、治療効率の向上を目指したいくつかの独自の工夫を施すことを計画している。
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Causes of Carryover |
2021年度は、ライフイベントに伴う休暇で実験の進行が遅れたため、その分の予算の使用額減少に繋がった。遅れた分の実験は次年度に行うため、次年度使用額についてはそれらの実験のための経費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)