2019 Fiscal Year Research-status Report
Production of humanized mouse models for chronic recurrent multifocal osteomyelitis and antiinflammatory drug development
Project/Area Number |
18K06041
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
阿部 幸一郎 東海大学, 医学部, 准教授 (90294123)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 喜美 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 教授 (90211705)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 疾患モデル / 自己炎症性症候群 / 指定難病 / 自己炎症性骨疾患 / 遺伝子改変マウス / 慢性非感染性骨髄炎 / 実験動物 / 骨破壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性非細菌性骨髄炎(CNO)は、自己抗体や自己反応性Tリンパ球の関与が特定されない自己炎症性疾患である。CNOのうち複数部位の骨で骨破壊や骨痛が認められる場合は、慢性再発性多発性骨髄炎(CRMO)と呼ばれる指定難病となる。我々は自己炎症性疾患モデルマウスの解析を行って、その原因遺伝子であるSrcファミリーキナーゼ(SFK)のFgr遺伝子を特定した。また、米国との共同研究によって、一部のCRMO患者で相同的なFGR遺伝子に非常に希な1塩基多型(SNP)を持つことを発見した。しかし、これらの多型はマウスで見つかった部位とは異なるため、実際にCRMOでこれらの多型が症状の原因となっているかは不明である。そこで本研究では、CRMOで見つかった多型のうちアミノ酸置換を伴う2つについて、マウス個体に導入してその表現型を詳細に解析することを目的としている。さらにこの系統を用いて、新たな分子標的薬のスクリーニング系を確立する事を目指している。今年度は、Fgr遺伝子座にlox配列とレポーター遺伝子を導入したFgrβgeo系統の解析を行ったことに加え、この系統を用いてCRMOで見つかった変異を持ったFGR遺伝子をlox配列を利用して導入することを行っている。また、ヒト型FGRマウス系統の樹立には時間がかかるが、Fgr遺伝子に変異があるAli18マウスを用いていくつかの候補となる分子標的薬の投与実験を行ったところ、自己炎症を抑える低分子化合物が見つかってきた。よってこの低分子化合物を候補として研究を続けるとともに、ヒト化変異導入マウスで表現型が認められれば投与実験を行って有効性を確かめる予定である。これらの系が確立されれば、エビデンスベースの分子治療薬の開発を加速させると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Fgr遺伝子座にlox配列とレポーター遺伝子を導入したFgrβgeo系統(2系統)の解析を行ったところ、#6系統では3個体中3個体でRT PCRによるレポーター発現が確認された。しかし、#10系統では3個体中1個体のみで発現していた。この結果が得られる前に、レポーター遺伝子をFGR遺伝子へと置換する実験が行われたたため、#10のES細胞を用いてFGR遺伝子への置換が行われた。これら#10に由来するESクローンよりキメラマウスを作製し、解析を行っている。今のところ、FGR遺伝子へ置換された個体は検出されていない。そこで、現在、#6ES細胞を用いて同様の実験を行っている。このためヒト化マウスの作出が遅れており、表現型解析にはしばらく時間が必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
Fgrβgeo系統で、レポーター発現が確認されたことでFGR遺伝子導入に関しては変更の必要はないと考えている。X-gal染色にて組織での発現が確認できなかったのは、レポーター発現が低いことが原因であると推測される。そのような場合、蛍光基質とフローサイトメトリーを用いたFACSgalという方法を用いると感度良くレポータータンパクを検出することができる。この方法を用いるかどうかを検討している。しかし、この方法を用いることは当初の計画に含まれておらず、予算を超過する可能性もあることから慎重に検討する。さらにマウスの内在性遺伝子にゲノム編集を用いて、ヒトで検出された変異と同じアミノ酸置換を導入する実験も行っている。現在までのところ2回マイクロインジェクションを行ったが、目的とする変異を持つ個体は得られていない。これらについては、ガイドRNAの配列を見直す必要がある。あるいは、このヒトで見つかった変異はマウスでは致死的にはたらく可能性も否定できない。分子標的薬開発については、Ali18マウスを用いて炎症を抑える低分子化合物の候補が絞られてきているので、ヒト型FGR変異マウス系統が樹立されれば、それらを用いて候補化合物を投与して炎症を抑える効果を確かめる予定である。
|
Causes of Carryover |
ヒト化マウス作製において、研究分担者と共同研究を行っている。現在までに目的とする遺伝子改変マウスが得られていないため、今後も凍結胚の輸送や復元、モニタリング、実験動物飼育費等の予算が必要である。そのため今年度予算を次年度も使用できるように繰越を行った。
|
Research Products
(4 results)