2020 Fiscal Year Research-status Report
Production of humanized mouse models for chronic recurrent multifocal osteomyelitis and antiinflammatory drug development
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18K06041
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
阿部 幸一郎 東海大学, 医学部, 准教授 (90294123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 喜美 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 教授 (90211705)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 疾患モデル / 自己炎症性症候群 / 指定難病 / 慢性非感染性症候群 / 骨破壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
自己炎症性疾患は自然免疫の異常により全身性の炎症が起こる疾患であり、自己免疫疾患と異なり自己抗体や自己反応性T細胞の関与が特定されない。自己炎症性骨疾患の慢性再発性多発性骨髄炎(CRMO)では、全身の複数の部位で自己炎症による骨破壊や骨痛が認められる。我々は四肢末端部に自己炎症を発症する変異マウスの遺伝学的解析により、Srcファミリーキナーゼ(SFK)のメンバーであるFgrが原因遺伝子であることを発見した。また、米国との共同研究により、一部のCRMO患者で相同的なFGR遺伝子のコーディング領域に非常な稀な1塩基多型を持つ症例を複数同定した。しかし、これらのCRMO患者で見つかった多型の部位はマウスで見つかった変異塩基とは異なるため、実際に自己炎症の発症に関与しているかは不明であった。そこで、CRMO患者で見つかった塩基多型を遺伝子改変によりマウスに導入した系統を樹立し、それらの系統の表現型を詳細に解析することが必要である。このことによって当該する変異が自己炎症に関与しているかがわかる。また、自己炎症ににおけるヒトとマウスの類似性と相違を理解することが可能となる。そこで本研究では、まずマウスのFgr遺伝子座の翻訳開始点にレポーター遺伝子を挿入し、さらにレポーター遺伝子を変異を導入したヒトFGR遺伝子と置換することを計画した。現在までにレポーター系統とヒト型FGR系統が樹立されてきており、その解析を行っている。また、ヒト型FGRマウス系統はES細胞クローンよりキメラマウスが得られ、系統樹立に成功しており、現在交配を行っている。確立されたマウス系統は、よりヒトの状態の近い動物モデルとして自己炎症性疾患の治療薬開発に貢献されることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに確立された翻訳開始部位付近にレポーター遺伝子とlox配列を挿入したFgr-βgeo系統では、レポーター発現は組織レベルでの発現は認められなかったが、RT-PCRによる解析を行ったところ、RNAレベルで発現が認められた。今後は、蛍光基質を用いるなど感度の高いレポーター検出法を用いることを検討している。また、このFgr遺伝子座に挿入したレポーター遺伝子を、疾患選択的変異を導入したヒトFGR遺伝子に入れ換えたヒト化系統の作製を試みた。研究分担者が、レポーターが導入されたクローンに由来するES細胞においてコンストラクトの導入を行い、その陽性クローンよりキメラマウスを作製した。このマウスの精子より体外受精を行って2細胞期胚の凍結を行い、これを研究代表者の研究室に送付した。当施設において、これらの凍結胚を融解し仮親に胚移植を行ったところ、期待した系統を樹立することができた。現在、これらの系統よりホモ遺伝子型マウスを得るために繁殖を行っている。いくつかの系統においてホモ遺伝子型の個体が確認されたので、現在、それらの表現型解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の段階では、ヒト型変異がマウスにおいて自己炎症を引き起こすことは不明である。よって、交配実験を行って目的となるホモ遺伝子型を持つマウスの表現型解析を継続させる。この過程において、マウス変異系統の解析では、自己炎症の表現型は遺伝的背景によっては抑制されることが報告されている。よって表現型を抑制しない遺伝的背景のマウスへ戻し交配をしていくことが重要であると考えられる。これには複数世代の交配が必要の場合も想定されるので、交配を継続させることが重要である。また、変異マウスと同様の自己炎症の表現型が検出された場合は、クリニカルスコア測定、組織学的解析、CTによる骨密度の解析、阻害剤の投与実験などを行って、疾患モデルとなるかどうかを詳細に解析する予定である。このひょうな解析により、疾患モデルとして確立されれば、新たな治療薬開発ツールとして用いることが可能になると期待される。
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Causes of Carryover |
研究計画に記したマウス交配実験が遅れているため、それに関わる実験動物飼育や実験補助に係る費用について使用額が次年度に発生した。これらの実験は、今後、半年以内には終了する予定であり、使用額に変更はない。
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Research Products
(4 results)