2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of a novel transposon regulatory mechanism depending on DNA demethylation
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18K06050
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 秀臣 北海道大学, 理学研究院, 助教 (70582295)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / トランスポゾン / DNAメチル化 / シロイヌナズナ / 環境ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、cmt3変異体におけるDNAメチル化解析およびヒストン修飾解析、トランスポゾンの新規発現制御に関わるHDACの同定の2つ側面から解析を行った。 先行研究より、シロイヌナズナで同定された熱活性型レトロトランスポゾンONSENはDNAメチル化酵素CMT3の変異体で発現が顕著に低下することが明らかになった。cmt3変異体では、CHG配列のDNAメチル化量が大きく減少するため、ONSEN配列のDNA メチル化レベルを解析した。その結果、cmt3変異体ではONSEN配列上のCHGメチル化レベルは顕著に低下していたが、興味深いことにCHHメチル化のレベルが上昇していることが明らかになった。 このため、CHHメチル化レベルの上昇がONSENの発現量低下に寄与しているが示唆された。この検証のため、CHH配列のメチル化を担うCMT2およびDRM1/DRM2の変異体にcmt3変異体を交配して、cmt3変異体で見られるONSENの発現減少が観察されるか検証した。drm1/drm2/cmt3ではdrm1/drm2と比較しONSENの発現が減少したが、cmt2/cmt3ではcmt2と比較しONSENの発現量が増加した。したがって、cmt3変異体条件下では、CMT2が活性化し、ONSENの発現を抑制している可能性が考えられる。 また、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるトリコスタチンA(TSA)を処理した植物体においてもONSENの発現量の低下が観察される。ヒストン脱アセチル化酵素には複数のClassに分類することができ、TSAはそのほとんどに有効な試薬のため、本年度はClass特異的に阻害する試薬を用いて、ONSENの発現制御に関与するヒストン脱アセチル化酵素のClassの絞り込みを行った。その結果、ClassI,IIを特異的に阻害するNaBTでも同様にONSENの発現量低下が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H30年度はCMT3と相互作用するタンパク質を同定するためにタグ付きCMT3と共免疫沈降によりタンパク質複合体を回収後、質量分析法により相互作用する因子を同定す予定であったが,相互作用の解析はコンストラクトの作製で止まっている。DNAメチル化で差が出たため、解析の必要性は下がった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究より、cmt3変異体ではONSEN配列上のCHHメチル化が上昇しており、CMT2の関与が疑われている。このため、さらに詳しくDNAメチル化を解析するため、全ゲノムレベルでDNAメチル化解析を行う。また、CHGメチル化とH3K9me2のヒストンメチル化はフィートバックを形成しているため、ChIP-seqを用いてヒストン修飾の変化を解析する。 また、ClassI、ClassIIのヒストン脱アセチル化酵素阻害剤でもONSENの発現量低下が観察された。このため、来年度以降も引き続き、Classの絞り込みを行う。
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Causes of Carryover |
さらに詳しくDNAメチル化を解析するため、全ゲノムレベルでDNAメチル化解析を行う必要があり、経費を加算した。また、CHGメチル化とH3K9me2のヒストンメチル化はフィートバックを形成しているため、ChIP-seqを用いてヒストン修飾の変化を解析する。このため、次年度予算に移行した。
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Research Products
(2 results)