2019 Fiscal Year Research-status Report
ポリA鎖を介したmRNAレベルの遺伝子発現制御と栄養源シグナルによる調節
Project/Area Number |
18K06053
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
入江 賢児 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90232628)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | Ccr4 / Pop2 / リン酸化 / グルコース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、酵母の①対数増殖期と定常状態におけるポリA鎖の長さと翻訳効率・mRNA安定性の関係、②Ccr4-Not複合体によるポリA鎖の長さと翻訳の調節機構、③栄養源からのシグナルによるCcr4-Not複合体の活性調節機構について明らかにし、mRNAのポリA鎖の長さを介したmRNAレベルでの遺伝子発現制御機構と栄養源シグナルとの関係を解明する。 Ccr4-Not複合体は、ポリA鎖の長さを調節するだけではなく、定常状態における翻訳抑制にも関与するが、このCcr4-Not複合体の機能が酵母の栄養状態によってどのように調節されるかについて解析する。 今年度は、Ccr4-Not複合体のサブユニットPop2のリン酸化を見出した。以前の研究で、Pop2がグルコース制限に応答してYak1キナーゼによって97番目のトレオニンがリン酸化されることを示されていた。しかしながら、Pop2のリン酸化の生理学的な重要性は不明であった。今回、グルコース存在下で、Pop2の39番目のセリン(S39)がリン酸化されることを見出した。S39の脱リン酸化はグルコース枯渇後急速に起こり、グルコースの添加により回復する。S39のリン酸化は、Pho 85キナーゼに依存していた。Pop2がRho1のGAPをコードするLRG1 mRNAを調節することによって細胞壁合成経路に関与することを示していた。しかし、Pop2のS39のリン酸化はLRG1 mRNAを調節には関与しなかった。一方、Pop2のS39のリン酸化は、HSP12, HSP26の発現制御に関与していた。これらの結果は、Pho85キナーゼによるPop2のS39のリン酸化が、グルコース感知システムの一部であることを示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究では、5つのテーマ、①対数増殖期と定常状態におけるポリA鎖の長さと翻訳効率・mRNA安定性の関係、② Ccr4-Not複合体によるポリA鎖の長さと翻訳の調節機構、③ Pan2-Pan3複合体、Pbp1によるポリA鎖の長さの調節、④ 栄養源からのシグナルによるCcr4-Not複合体の活性調節機構、⑤ RNA結合タンパク質Nab6とポリAポリメラーゼPap1による翻訳制御機構の5つをあげているが、全て順調にデータが得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
5つのテーマ、①対数増殖期と定常状態におけるポリA鎖の長さと翻訳効率・mRNA安定性の関係、② Ccr4-Not複合体によるポリA鎖の長さと翻訳の調節機構、③ Pan2-Pan3複合体、Pbp1によるポリA鎖の長さの調節、④ 栄養源からのシグナルによるCcr4-Not複合体の活性調節機構、⑤ RNA結合タンパク質Nab6とポリAポリメラーゼPap1による翻訳制御機構の5つのテーマで研究を継続する。
|
Research Products
(3 results)