2020 Fiscal Year Annual Research Report
Structural analysis of the ribosome nascentpeptide-chain complex of mammalian mitochondria
Project/Area Number |
18K06054
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富田 野乃 (竹内野乃) 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (80323450)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 翻訳 / 哺乳類ミトコンドリア / リボソーム / 新生ペプチド鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、ミトコンドリア翻訳因子の病的変異が相次いで同定されており、またミトコンドリアのリボソームや翻訳因子に誤作用して副作用をもたらす薬剤も報告されている。ミトコンドリアリボソームの機能構造相関を解明する必要性が高まっている。リボソームのペプチドトンネルは、新生ペプチド鎖のプロセシングや折りたたみ、細胞内輸送などの制御をになう場でもある。ペプチドトンネルは多くの抗生物質の結合部位となっており、医療応用の観点からもその構造を理解することは重要である。本研究課題では、ミトコンドリアリボソームのペプチドトンネルの構造を明らかにするとともに、新生ペプチド鎖とペプチドトンネルの相互作用について知見を得ることを目指した。 哺乳類ミトコンドリア翻訳系を再構築し、連続プロリン配列を介した翻訳停止を利用して新生ペプチド鎖リボソーム複合体(ribosome-nascentchain complex, RNC)を形成することに成功した(Lee, 2021)。更に、翻訳反応条件(Mgおよびポリアミン濃度) や新生ペプチド鎖の長さについて検討を行い、安定にRNCを得る条件を決定した。バクテリアや真核細胞細胞質のリボソームでは、新生ペプチド鎖の長さが約50アミノ酸以上でそのN末端がペプチドトンネルの外に露出することが知られている。ミトコンドリアリボソームでは、およそ80アミノ酸以上で露出することが明らかになり、ミトコンドリアリボソームのトンネル出口のvestibule構造が広く、新生鎖がvestibuleですでにフォールディングを開始する可能性が示唆された。本研究課題により、新生ペプチド鎖の配列や長さを制御しながらRNCを調製することが可能になった。様々なRNCを調製しており、これらの構造を決定することにより、薬剤デザイン等に有用な知見が得られると期待される。
|
Research Products
(5 results)