2018 Fiscal Year Research-status Report
上皮間葉転換を制御するlncRNAの探索とその機能の解明
Project/Area Number |
18K06057
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
寺島 農 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (80507434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 健之 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (30262075)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 上皮間葉転換 / EMT / 長鎖非コードRNA / lncRNA / ポリコーム抑制複合体 / PRC2 |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮細胞の性質を失い、間葉細胞の性質を獲得する上皮間葉転換(EMT)において、長鎖非コードRNA(lncRNA)がどのような役割を果たしているのかを明らかにすることを目的に、研究を推進している。 本年度、申請者はTGF-βによってEMTが誘導されるEMTモデル細胞において、lncRNAの1つであるMEG8(RIAN)の発現が誘導されることを見出した。EMTモデル細胞において、RIANを大量発現させると、マイクロRNAであるmiR-34aやmiR-203の発現が抑制され、それに伴って、それらマイクロRNAの標的である転写因子、SNAI1とSNAI2の発現が促進された。その結果、SNAI1およびSNAI2が抑制している上皮マーカーであるE-カドヘリンの発現がさらに抑制されることが分かった。それに加えて、RIANをノックダウンすると、TGF-βによるEMTの誘導が阻害されたことから、RIANがTGF-βによって誘導されるEMTに不可欠であることが示唆された。RIANは、1.遺伝子発現を抑制する働きがあるポリコーム抑制複合体2(PRC2)と結合できること、2.miR-34aやmiR-203の遺伝子座への、PRC2のリクルートを促進すること、3.RIAN自身もTGF-β依存的にmiR-34aやmiR-203の遺伝子座へリクルートされていることから、RIANはPRC2をmiR-34aやmiR-203の遺伝子座へリクルートすることによって、それらの発現を抑制し、結果的に上皮マーカー遺伝子の発現を抑制されることにより、EMTに関わる可能性が示唆された。 本研究の成果は、lncRNAによるがん悪性化機構の理解につながることが期待される。これらの研究実績は2018年、JBC誌へ報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は 1.EMTにおけるRIAN長鎖非コードRNAの役割を明らかにすること 2.EMTを制御する新たな長鎖非コードRNA候補を見つけること を計画していた。1に関しては、RIAN長鎖非コードRNAがEMTに不可欠で、PRC2のリクルートメントを調節することによってEMTに関わる可能性があることを提示できた。2に関しては、いくつかの新たな有力候補をスクリーニングして、ピックアップできており、今後それらのlncRNAがどのようなメカニズムでEMTに関わるのかを明らかにしていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、本研究で同定してきたRIAN長鎖非コードRNAに関しては、以前に申請者らが同定したMEG3長鎖非コードRNAと分担して、PRC2のリクルートメントに関わることにより、上皮・間葉系遺伝子の発現スイッチを制御し、EMTに関わることを提示してきた。今後はこれらの長鎖非コードRNAによるPRC2のリクルートメント機構の詳細に踏み込みたい。さらに、EMTを制御する新たな長鎖非コードRNAを同定し、EMTにおける長鎖非コードRNAの役割の一端を明らかにしていきたい。
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Research Products
(4 results)