2018 Fiscal Year Research-status Report
新規RNA免疫沈降法 (tRIP法) によるRNA-タンパク相互作用解析の新展開
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18K06058
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
増田 章男 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (10343203)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | RNA-蛋白相互作用 / CLIP / FUS / tRIP / RNAP II |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、独自開発したRNA-protein相互作用検出法tRIPを駆使して、今まで解析困難であった、(i)少量細胞, (ii) 細胞内機能性分画, (iii) 時系列の複数検体,でのグローバルRBP結合部位検出を行い、その解析法の確立と、RNA-タンパク相互作用の細胞特異性や動態の解明することである。 今年度は、(ii)細胞内機能性分画の解析法の確立に顕著な進展があった。当初研究計画の通り、連続免疫沈降による解析を行った。細胞内RNA-protein相互作用部位のUV-crosslink後、まず、クロマチン分画を抽出し、RNAP II転写複合体の主体コンポーネント (Rpb1) に対する抗体で免疫沈降を行った。共沈されたRNA-protein複合体に対して、さらに抗FUS抗体によるtRIP解析を行うことで、転写複合体に特異的なFUS標的RNA部位が検出された。バイオインフォマティクス解析により、FUSはpolyA siteの上流RNA部位に結合し、転写終結・ポリアデニル化を抑制していることが明らかとなった。さらに、RNAP II転写複合体中のU1snRNP-RNA結合部位についてtRIP法により解析したところ、FUSとU1snRNPは複合体を形成することで、ポリアデニル化抑制を果たすことが明らかとなった。現在、成果をまとめて論文作成中である。 (i)については、4000個からのtRIP解析が再現性を持って可能であることを確認した。 (iii)については、酸化ストレス刺激下での細胞内RNA-protein相互作用動態解析に取り組んでおり、一つのRBPで、ヒ素刺激の有無によりRNA結合部位が変化することをtRIP法で同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的とした3点について、それぞれ進捗があり、そのうちのひとつでは、論文作成・投稿予定まで進んでいる。順調な研究進展と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的の(i)少量細胞からのRNA-protein相互作用検出では、現状の4000個細胞からさらに少量での検出を追求していく。現在の、tRIP技術では、ほぼ限界まで達しており、何らかのブレイクスルーが必要な状況であるが、光応答性プローブやシングルセル解析技術の応用により、このブレイクスルーを果たしていきたい。 現在のtRIP技術は、ほぼ完成しており、多数のtRIPを行うことでRNA-protein相互作用の動態解析に積極的に取り組んでいきたい。 また、現在、一つのサンプルから複数のRNA結合タンパクRNA結合部位を同定できる、マルチプレックス化技術の開発の基礎的実験に成功し、技術的目途が立った状態である。今後、実際に複数RNA結合タンパクの解析に用いることが出来るのか、検討していく。まずは、2個のRNA結合蛋白から始め、徐々に数を増やしていき、最終的には、10個前後のRNA結合タンパクを一度に解析出来ることを目標としている。
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Causes of Carryover |
次世代シークエンス解析の施行に、時間を要するものがあり、計画年度内に行う解析の一部が、次年度にずれ込んでいる。このため、次年度使用額が生じた。順次、次世代シークエンス解析を行うことで、次年度内に速やかに使用できる見込みである。
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