2020 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-beta-induced alteration of gene silencing for stem cell maintenance and differentiation
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18K06059
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井木 太一郎 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (20774011)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | RNAサイレンシング / 精子形成 / microRNA / Argonaute / 分子シャペロン / Cyclophilin 40 / 生殖細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
Cyp40タンパク質を検出することができる抗体を作成することに成功したので、ショウジョウバエの異なる組織を用いて内在タンパク質の蓄積を観察したところ、精巣において特異的な発現を示すことが明らかとなった。精巣には大きく二つの細胞系列が存在しており、生殖細胞系列と体細胞系列に分けられる。cyp40機能欠損株の不妊の表現型は、生殖細胞において選択的に発現させたGFP-FLAGタグを付与したCyp40により野生型レベルにまで回復したことから、Cyp40は生殖細胞の内部において、その精子への成熟を不可欠に助ける因子であることが明らかとなった。生殖細胞の抽出液を用いた相互作用解析により、Cyp40の点変異タンパク質RKAAはHsp90やAgoタンパク質群との相互作用することができなくなっていることが明らかとなった。このRKAA変異タンパク質は精巣の生殖細胞において精子を成熟させることに失敗したことから、精子の成熟を支えるCyp40の機能はHsp90やAgoタンパク質とつくる複合体形成と深く関係することが示唆された。Cyp40は精巣の生殖細胞においてAgoタンパク質の関わる経路、すなわち遺伝子サイレンシングに対して何らかの制御機構をはたらかせているのではないかと考え、精巣に存在するmiRNAやsiRNAなどの蓄積を調べた。miRNAやsiRNAと結合してエフェクターRISCをつくるAgo1とAgo2のタンパク質をそれぞれ免疫沈降する解析により、Cyp40がAgo2に結合しているmiRNAに対して選択的に働きかけていることが明らかになった。以上の結果はCell Reportsに掲載された(Iki et al., 2020)。
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