2020 Fiscal Year Annual Research Report
Novel mechanism of pericentromere-specific heterochromatin formation
Project/Area Number |
18K06061
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
太田 信哉 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 准教授 (00631194)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 染色体 / セントロメア / クロマチン |
Outline of Annual Research Achievements |
セントロメアが染色体分配において正常な機能を維持するためには、反復配列から成るセントロメア周縁領域 <ペリセントロメア> がヘテロクロマチン状態を維持することが必要である。これは、ペリセントロメアのヘテロクロマチンにより、セントロメアが染色体分配に適したキネトコア構造形成を可能にするためである。このペリセントロメアは約170bpほどのαサテライトと呼ばれる配列が、数Mbにも及ぶ重度な反復配列となり構成されており、そのサテライト配列内のB-box配列にDNA結合タンパク質であるCENP-Bが結合することが知られている。しかし、この領域のヘテロクロマチン化機構に関しては、セントロメア機能に必須であるにも関わらず、合理的な説明が果たされていない。私たちは、この極めて重要な分子機構を解明するため、独自の染色体プロテオミクス解析法を開発し、最終的に機能未知タンパク質AIRI-0とその相同タンパク質AIRI-1を見い出した。興味深いことに、これら新規タンパク質は、CENP-B依存的にペリセントロメアに導入される。さらに、in vivoで両AIRIタンパク質がCENP-Bやヘテロクロマチン構造の鍵となるタンパク質HP1と独立して直接相互作用すること、及びヒストンH3の9番目のリジンをメチル化する酵素G9aとも相互作用することを発見した。以上の結果を統合し、ペリセントロメアにCENP-Bが結合し、次いでCENP-Bにより導入された両AIRIタンパク質が関与するプロセスを経て、HP1やG9aがペリセントロメアに配置され、この領域がヘテロクロマチン化されるという新しい分子機構のモデルが提唱できた。今後は、このモデルの詳細を解明することに焦点を合わせ研究を進めたい。
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