2022 Fiscal Year Annual Research Report
Interaction between nuclear lamina and heterochromatin during G1 phase
Project/Area Number |
18K06066
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
廣瀬 富美子 兵庫県立大学, 理学研究科, 准教授 (60208882)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 核ラミナ / ライブイメージング / ヘテロクロマチン / G1期 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト細胞の遺伝情報は、46本の染色体として核に収納されている。これらの染色体の核内分布は無秩序ではなく、遺伝子の転写が盛んな染色体ほど核内部に局在し、遺伝情報の密度が低いあるいは発現が抑制された染色体(ヘテロクロマチン)は、核膜周辺部に分布していることがわかっている。しかしながら、この染色体の核内分布を規定する分子メカニズムの全容は明らかにされていない。本研究では、核膜のすぐ内側に存在する網目構造である核ラミナがこの分布の調節に関わっていると考え、核ラミナとヘテロクロマチンの相互作用の分子基盤の解明を目指した。具体的には、HA-tag 付きのラミンAと相互作用する因子を免疫沈降法で精製し、ヘテロクロマチン結合因子であるHP1タンパク質ファミリーをその候補因子として同定することができた。Kusabira Green(イシサンゴ由来蛍光タンパク質)を利用しタンパク質断片コンプリメンテーション法(BiFC)を確立し、lamin AとHP11の3つのオルソログ(HP1α、HP1β、HP1γ)との生細胞内での相互作用の有無、時期、場所などについて解析を行った。共焦点顕微鏡による観察結果から、lamin AはHP1βとのみ分裂期終期の核ラミナ形成時期から染色体上で相互作用が始まり、その後のG1期の初期においても核内部での相互作用があることが示唆された。長時間ライブイメージングでは、lamin AとHP1βの相互作用の場はG1期の開始から5時間程度で核内部から核膜辺縁の核ラミナ層に時間とともに移動する様子が観察された。このことは、lamin AとHP1βの相互作用は分裂期終期の染色体上で始まり、G1期の初期に相互作用の場は、核辺縁部へ移動することを意味する。この研究により、核内部に存在するlamin Aの新規な役割を示すことができたと考える。
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