2020 Fiscal Year Research-status Report
Structural analysis of chaperone complex for the IgM assembly
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18K06075
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡部 聡 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (50432357)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | クライオ電子顕微鏡 / カーゴレセプター |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫グロブリンM (IgM)は、二組の軽鎖と重鎖で形成されたIgM単量体が、ジスルフィド結合で架橋された五または六量体として細胞外に分泌される。これまでの 研究から、細胞の分泌経路において、小胞体で合成されたIgM単量体が小胞体シャペロンであるERp44によって捕獲され、糖タンパ ク質の運搬を担うERGIC-53上 でIgMの正確な会合体が形成されると考えられている。ERGIC-53は、小胞体とゴルジ体の中間区画であるERGICに局在する一回膜貫通タンパク質であり、糖鎖修飾 された様々な分泌タンパク質を小胞体からゴルジ体へと輸送させる役割を果たしている。全体構造は、糖鎖結合ドメイン (CRD)、ストークドメイン、膜貫通ヘ リックス(TM)およびERGIC局在モチーフで構成されており、ストークドメイン間で六量体を形成して機能すると考えられている。しかし、全長ERGIC-53の立体構 造は未決定であり、六量体としての分子機構は不明な点が残されている。またERp44との相互作用様式についても、十分には分かっていない。本研究は、全長 ERGIC-53の立体構造ならびにERp44やIgMとの複合体の構造解析によって、IgMの正確な会合体形成の分子基盤の解明を目指すものである。 今年度は、精製系を確立した全長ERGIC-53について、SEC- MALS/SAXS実験にさらに取り組み、ERGIC-53の会合状態に新たな知見が得られた。またMCFD2との複合体形成による全長構造の大きな構造変化が示唆された。一方、クライオ電子顕微鏡観察のためのグリッド作成条件のスクリーニングに取り組んだ。条件検討の結果、Au グリッドおよび界面活性剤を添加することで、粒子形状が確認できるような電顕画像取得に成功した。一方ERp44とERGIC-53との相互作用解析の結果、直接的な相互作用は確認できず、複合体形成には別の因子の関与が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
凍結グリッド条件のスクリーニングの結果、観察に適した凍結グリッド作成条件が確立しつつあり、クライオ電子顕微鏡による構造解析の見通しがたったため。
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Strategy for Future Research Activity |
予備的データからERGIC-53の全長構造が得られつつあり、凍結グリット条件の最適化に継続して取り組み、全長ERGIC-53のクライオ電子顕微鏡での構造解析を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、実験が制限された期間があり、予定していた実験を延期したため。
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