2018 Fiscal Year Research-status Report
Fine structures of reaction inter-mediates of bovine cytochrome c oxidase
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18K06092
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
月原 冨武 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 特任教授 (00032277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 信也 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 特任教授(名誉教授) (40068119)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | チトクロム酸化酵素 / X線結晶構造解析 / 呼吸酵素 / 膜蛋白質 / プロトンポンプ / 酸素還元 |
Outline of Annual Research Achievements |
チトクロムc酸化酵素(CcO)は呼吸鎖末端酵素で、酸素の還元とそれに同期したプロトンの能動輸送を担っている。活性中心としてCuA, heme a, heme a3, CuBを有する膜蛋白質である。酸素還元反応の際にCuA, heme aを経て酸素還元中心heme a3, CuBに電子が伝達されるのに同期して、プロトンが能動輸送される。酵素反応サイクル中の幾つかの中間体及び中間体類似の構造を決定して、H-経路プトトンポンプ機構を提案した。この酸素還元とプロトン能動輸送の同期の仕組みの解明を目指している。 heme a3とCuBで構成されている酸素還元中心で行われる酸素還元は6種の反応中間体、R, A, P, F, O, Eを経て段階的に進行する。プロトン能動輸送経路であるH-経路は水チャネルとそれに続く水素結合ネットワークとプロトンプールで構成されている。我々は、R状態で水チャネルが開いて4プロトンがN側(マトリックス側)からプロトンプールに蓄積されると主張している。その後、P以降の過程で電子がCuA、heme aをへてheme a3に4回供給される度に1プロトンずつプロトンプールから水素結合ネットワークを介してP側(膜間腔側)に輸送される。R状態(還元型)でのみヘリックスXの構造が水チャネルを開いた状態にする。このヘリックスXの構造に影響を与えているのはheme a3の構造と考えている。幾つかの構造解析を進めている中で2018年度は、P,F中間体の構造決定を完了した。P,F中間体の構造決定では、これまで見過ごされていた多型構造を精密に解析して水チャネルの開閉に関わるヘリックスXの構造に対する異論を退けることができた。これらは投稿準備中である。 O中間体及びその他の類似中間体の回折データ処理も順調に進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チトクロム酸化酵素の反応機構の解明を行うために3年間では以下の結晶構造解析を行う計画を立てた。(1)休止酸化型結晶の1.30オングストローム分解能での混ざりを解いた構造解析、(2)還元型結晶の1.60オングストローム分解能での混ざりを解いた構造解析、(3)F中間体結晶の1.70オングストローム分解能での混ざりを解いた構造解析、(4)O中間体結晶の1.8オングストローム分解能での混ざりを解いた構造解析、(5)CN-結合酸化型結晶の1.60オングストローム分解能での混ざりを解いた構造解析、(6)CN-結合還元型結晶の1.45オングストローム分解能での混ざりを解いた構造解析、(7)休止酸化型結晶構造のX線損傷を検証する構造解析。 これらの課題のうち(1)休止酸化型結晶は1.5オングストローム分解能、(2)還元型結晶の1.60オングストローム分解能で構造精密化を行った。(3)F中間体結晶は1.80オングストローム分解能で構造精密化を行った。当初見込んでいた分解能より低い分解能になっているのは、無理して高い分解能にするよりも精度の高いデータに基づいた解析を行う方が信頼度の高い構造を得ることができると判断したためである。上記の3構造を基に酸素還元における活性中心への酸素の結合からO―O結合が開裂する最初の段階の仕組みを明らかにした。投稿準備中である。この研究の過程で問題になった複数の構造の混ざりを解く解析法を確立する研究も行い、これについても投稿準備中である。 その他、O中間体結晶、CN-結合酸化型結晶、CN-結合還元型結晶、休止酸化型結晶構造についてはそれぞれ10-50個の結晶を用いて収集された回折強度データの処理を順次行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度に完結したF中間体結晶の構造解析では、反応サイクル中にある6種の構造のうち以前決めたR状態に加えてF状態の構造を決定できた。これに基づいた反応機構と、構造解析法に関する成果をそれぞれ専門誌に報告する。 残されたO中間体結晶、CN-結合酸化型結晶、CN-結合還元型結晶、休止酸化型結晶の構造解析では、反応機構を知る上で最も注目されるのはO中間体結晶の構造である。O中間体結晶の構造解析を優先し、他の結晶についても順次取り組む。 なお、本酵素の構造が別の研究者によって発表されて、構造データベースに(PDB)に登録されることがある。これらの中には、研究の進展に混乱をもたらす恐れが多分にある構造も出ている。これらの構造の検証も必要に応じて実施する。
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Research Products
(5 results)