2018 Fiscal Year Research-status Report
Integrated analysis of the bacterial divisome using multiple probes
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18K06094
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松村 浩由 立命館大学, 生命科学部, 教授 (30324809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉澤 拓也 立命館大学, 生命科学部, 助教 (50779056)
田中 俊一 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (70591387)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 細胞分裂タンパク質 / 離合集散 / 阻害剤開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞分裂初期に細胞膜の内側で形成されるタンパク質複合体Divisomeは、細胞膜を陥入させる役割を担う。しかし、Divisomeが「どのようにして膜を陥入させる駆動力を発揮するのか?」は不明である。これまで研究代表者らはDivisomeの中心的な役割を担うFtsZの立体構造解析を行い、FtsZが異なる立体構造をとることを初めて示すことにより、FtsZの構造変換が膜分裂の駆動力となる可能性を示してきた(J. Struct. Biol., 2017)。本研究では、これらの基盤研究をさらに発展させる目的で、まず(i)マルチプローブによるDivisome複合体による膜陥入モデルの構築を目指した。具体的には、高速AFMの観察条件を最適化することで、FtsZの離合集散過程を観察し、分子レベルでの動的挙動とフィラメント形成に与える影響とを詳細に調べた。また、細胞分裂に必須のタンパク質FtsZが有望な抗菌薬標的であることを念頭に、(ii)マルチプローブを用いた抗MRSA薬の開発基盤の構築を行った。これまで研究代表者らはブドウ球菌MRSAの細胞分裂タンパク質FtsZに結合する抗菌薬を開発してきたが(ACS Chem. Biol., 12, 1947, 2017)、さらにその阻害剤に改良を加えた新たな阻害剤を共同で開発し、その阻害剤とFtsZとの複合体構造をX線結晶解析法によって決定することができた。そしてこれらの開発した阻害剤が「新しい結合様式」で強くFtsZに結合することで薬が結合しにくくなった薬剤耐性型FtsZにも阻害剤が結合できることが分かったため、FtsZ阻害薬が効かないとされてきた感染性細菌に対する阻害活性を測定したところ、その感染性細菌に対しても効果があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(i)マルチプローブによるDivisome複合体による膜陥入モデルの構築、(ii)マルチプローブを用いた抗MRSA薬の開発基盤の構築、それぞれにおいて進展が見られ、おおむね順調に進展していると考えている。理由を以下に述べる。 (i)については、高速AFMを用いた詳細な解析を行うことができた。これまで高濃度KClの条件でFtsZの集合の様子は観察されてきたが、フィラメントからFtsZが解離する際の情報が欠けていた。そこで、KClの濃度を最適化することによってFtsZのフィラメントからの解離を観察することができ、フィラメントにプラス端とマイナス端があることを観察することができた。 また(ii)についても、新たな阻害剤を開発するとともに、その阻害剤がFtsZに結合する様子をX線結晶解析法によって原子レベルで観察することができた。また、その作用機序の理解を新たに展開させて、異なる感染性細菌に対しても阻害剤が効果を示すことが明らかとなり、さらにその細菌に対する薬剤開発も計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
(i)マルチプローブによるDivisome複合体による膜陥入モデルの構築 Divisomeが「どのようにして膜を陥入させる駆動力を発揮するのか?」を解明するためにも更にDivisomeタンパク質を結合させることによるFtsZの挙動解析を行う予定である。具体的には、様々な条件下で高速AFM観察、NMR、X線結晶解析による構造機能解析を行う予定である。 (ii)マルチプローブを用いた抗MRSA薬の開発基盤の構築 FtsZ阻害薬が効かないとされてきたある感染性細菌に対する化合物の阻害活性を測定したところ、その化合物がその感染性細菌に対しても効果があることが分かったため、その感染性細菌FtsZの発現系の構築から構造解析を行う予定である。
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