2020 Fiscal Year Research-status Report
Biochemical study of maintenance DNA methylation regulated by histone modification(s)
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18K06095
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
末武 勲 中村学園大学, 栄養科学部, 教授 (80304054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茶谷 絵理 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (00432493)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | HP1 / ヒストン修飾 / DNAメチル化 / Dnmt1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では「ヒストン修飾によるDNAメチル化維持活性促進機構の生化学的研究とその機能評価」という課題名をたて、研究を進行している。DNAメチル化は、生体にとって遺伝子発現制御という点で、非常に重要な機構であることは、広く知られていることとなっている。DNA複製・修復の過程で、DNA上のメチル化状態を維持する酵素であるDnmt1は、ヘテロクロマチンタンパク質(HP1)を介して、ヒストンメチル化修飾とも関連があるとの報告がある。
本年度は、Dnmt1の機能制御をさらに深く理解するために、HP1の分子運動性について、研究を進めてきた。具体的には、HP1分子の特定のアミノ酸に電子スピンを導入し、そのスピンを電子スピン共鳴装置(ESR)や電子-電子二重共鳴法(DEER)にて測定することにより分子の運動性やドメイン間の距離等を測定した。その結果、これまでHP1は2量体形成することが知られて、そのインターフェースであるドメイン(クロモシャドウドメイン(CSD))の2量体は結晶化されていた。今回のDEER測定の結果から、近傍に他のドメインが存在しても、その2量体はほとんど揺らがなく、安定な構造であることがわかった。さらに、溶液中でも、結晶構造とほぼ同じ分子配置をしていることが予想された。また、CSDのN末端側に存在する領域は、これまでNMR等で構造をとっていないと言われてきたHRが、CSDの運動性を優位に拘束することも分かった。つまり、HP1分子の運動性を追うことで、HP1分子のダイナミックな特性に新知見を集めることができており、今後エピジェネティクスをダイナミックに理解する手がかりを得たと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、Dnmt1 の制御機構を考える上で、他因子が関与する事、またヒストン修飾が関与することが知られていた。しかし、それらは静的な分子間相互作用を基盤に理解されており、それがどのような動態で制御されいるかについては、手が付けられていなかった。私は、まず、ヒストンメチル化修飾を認識するHP1が、どのような分子の動きをしているかについて調べようと考え、HP1に電子スピンを導入し、その挙動を調べる系を立ち上げ、HP1分子において新特性を見出すことができている。 今後、さらに系を複雑にできれば、ダイナミックなエピジェネティクス制御を理解する第一歩になりうると考え、高い評価をつけたいところであるが、コロナの影響で研究への時間がなくなり、その進行が停滞したので、上記自己評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず、HP1分子の運動性について明らかにした点について、論文にまとめるのを最優先とする。現在、さらにHP1の新たな分子特性も見出しているので、今後は、その実験を進め、報告することを目標とする。 また、DNAメチル化とも関連づけた方向にも展開したいと考えている
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Causes of Carryover |
2020年は、コロナの影響を受け、予定より研究の遅れが出たためです。
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Research Products
(13 results)